PANIC THE WORLD

『PANIC THE WORLD』は、1986年7月10日、キャニオン・レコードより発売されたおニャン子クラブ通算3作目のスタジオアルバムです。前作『夢カタログ』からわずか4ヶ月後という短いスパンでのリリースとなり、おニャン子クラブのアルバムとしては初めて2枚組という形態が採用されました。

Disc 1は、おニャン子クラブメンバーそれぞれが参加した全曲オリジナルの新曲で構成されています。作詞は秋元康氏と麻生圭子氏が担当し、作曲・編曲には見岳章氏、山川恵津子氏、後藤次利氏、佐藤準氏といった当時のアイドルソングシーンを牽引した面々が名を連ねています。楽曲は、メンバーのソロパートやユニットでの歌唱が織り込まれ、おニャン子クラブの多様な魅力が詰め込まれた作品となっています。中でも「体育館はダンステリア」はシンディ・ローパーのヒット曲『ハイスクールはダンステリア』を彷彿とさせるタイトルが特徴的です。また「夏休みは終わらない」は、後にテレビアニメ『夏色キセキ』の劇中歌として使用されるなど、世代を超えて愛される楽曲となっています。

一方、Disc 2はベスト盤として構成され、おニャン子クラブのシングル曲、ソロ、そしてうしろゆびさされ組やニャンギラスといったユニットの楽曲を収録しています。シングル表題曲は勿論のこと、カップリング曲としてリリースされた楽曲も収録されている点が大きな特徴です。具体的には、河合その子や国生さゆりのシングルカップリング曲も収録されており、おニャン子クラブとその周辺メンバーの活動を網羅した内容となっています。これら楽曲の多くは、当時、大きな人気を博した楽曲であり、おニャン子クラブ全盛期を象徴する名曲が数多く収録されています。

このアルバムは、1986年の年間アルバムヒットチャートで48位を記録するなど、商業的にも成功を収めました。さらに、2008年にはテレビ朝日で放送された『仮面ライダーキバ』の23話で、本作のLPレコードが登場するなど、現在でもその存在感を示しています。これは、劇中の設定が1986年だったことと関係しており、当時の音楽シーンを知る世代には懐かしく、若い世代には新鮮な驚きを与えたエピソードと言えます。

『PANIC THE WORLD』は、全19曲を収録した、まさに「おニャン子クラブ大全集」とも言うべき内容です。Disc 1の新曲と、Disc 2のベスト盤という構成は、当時のアイドルグループのアルバムとしては画期的なものでした。おニャン子クラブ全盛期の勢いが感じられる、ファン必携のアルバムと言えるでしょう。また、このアルバムを通して、80年代アイドル黄金期を象徴する多くの楽曲、そして、多くの才能豊かな音楽家たちが関わっていたことを知ることができます。 楽曲それぞれの個性、そしてアルバム全体の構成は、アイドルソング史において重要な位置を占める作品として評価されています。

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