PANORAMA PORNO

PANORAMA PORNO：ポルノグラフィティの音楽的展望

2012年3月28日にリリースされたポルノグラフィティ9枚目のオリジナルアルバム『PANORAMA PORNO』は、前作『∠TRIGGER』から2年ぶりとなる待望の作品です。5曲のシングルを含む全15曲を収録した本作は、バンドの新たな一面を示す、多様な楽曲群で構成されています。

アルバム制作：新たな挑戦と進化

東日本大震災後の2011年4月から制作が始まった本作は、これまでの制作チームを一新し、プロデューサーの本間昭光氏をはじめ、新進気鋭のアレンジャー8名を含む新たな制作体制で挑まれました。 長年築き上げてきた制作スタイルからの脱却は、震災を経験したバンドメンバーが「自分たちの音楽とは何か？」を深く問い直した結果によるものでした。

サポートメンバーとのセッションを通して既存の音楽を再解釈する試みも取り入れられ、楽曲制作には全体のコンセプトを事前に決めずに、1曲ずつ丁寧に制作するという手法が採用されました。このアプローチは、多様な楽曲が共存するアルバム全体の構成に繋がっています。

アルバムタイトル『PANORAMA PORNO』は、多様な楽曲群を表現する言葉として選び出されました。「音楽百景」というアイデアから生まれたこのタイトルは、バンドの愛称「PORNO」と組み合わせることで、「新しいポルノグラフィティの音楽の景色」をリスナーに提示するという意図が込められています。

楽曲の詳細：多様なサウンドとメッセージ

アルバムには、映画主題歌にもなった力強いロックナンバーから、繊細なバラード、そしてデジタルサウンドを取り入れた実験的な楽曲まで、幅広いサウンドが収録されています。

各楽曲は、それぞれ異なるアレンジャーとのコラボレーションによって生み出されており、それぞれの個性とポルノグラフィティの音楽性が融合した、独特のサウンドが特徴です。歌詞には、震災後の社会情勢や、メンバー自身の内省的な感情が反映されており、深いメッセージ性が込められています。

例えば、「ワンモアタイム」は、震災後の無力感と希望を歌った楽曲であり、本作の中核を担う重要な曲となっています。「2012Spark」は、時代を生きる人々への応援歌として力強いメッセージが込められています。また、「EXIT」は、理想と現実のギャップを描いたミディアムバラードとして、聴く者に深い共感を呼び起こします。

プロモーションと商業的成功

2年ぶりのオリジナルアルバムということもあり、本作は多角的なプロモーション展開が行われました。Google+やYouTubeとの連動企画、雑誌やテレビ・ラジオへの出演、ニコニコ生放送での特番など、精力的な活動が注目を集めました。

オリコンチャートでは、週間ランキング2位、月間ランキングでも上位にランクインするなど、商業的な成功も収めました。

批評家の評価

音楽評論家からは、本作の多様な楽曲と高い音楽性を評価する声が多数上がっています。新たな試みによって生まれた楽曲群は、従来のポルノグラフィティ像にとらわれない、バンドの進化を感じさせる作品であると高く評価されました。

まとめ：音楽的冒険と成熟

『PANORAMA PORNO』は、震災後の混乱と再生期に制作された、ポルノグラフィティの音楽的冒険と成熟が凝縮された作品です。様々な挑戦と新たなコラボレーションによって生み出された多様な楽曲群は、リスナーに深い感動と余韻を与え続けるでしょう。本作は、バンドの歴史における重要な転換点となり、後の作品にも大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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