∠TRIGGER

ポルノグラフィティ8作目のオリジナルアルバム『∠TRIGGER』

2010年3月24日にリリースされたポルノグラフィティの8枚目のオリジナルアルバム『∠TRIGGER』（トリガー。「∠」は読まない）は、前作のベストアルバムから約1年5ヶ月、オリジナルアルバムとしては約2年7ヶ月ぶりの作品です。

アルバムの特色

アルバムジャケットは、表と裏にメンバーの写真が使用され、それぞれ「PORNO」と「GRAFFITTI」とバンド名が分かれています。アルバムタイトルの『TRIGGER』は手書きで、Eが「≡」という独特のデザインが施されています。

特筆すべき点は、これまで全てのアルバムで作曲に参加していたak.hommaが本作では作曲に関わっていないことです。全楽曲がメンバー（岡野昭仁と新藤晴一）による作詞・作曲となっています。また、全13曲中、7曲目は8曲目のイントロダクションとして扱われているため、メンバーや公式サイトでは全12曲としてカウントされています。

初回生産限定盤には、三方背スリーブケースが採用され、付属のDVDにはシングル曲のビデオクリップ、メイキング映像、そしてライブ映像が収録されています。

リリースされると、2010年4月5日付のオリコン週間アルバムチャートで1位を獲得。前作のベストアルバムに続き2作連続（通算4度目）の首位獲得となり、オリジナルアルバムとしては『THUMPχ』以来3作ぶり2度目の快挙となりました。

楽曲解説

全編曲はak.hommaとPorno Graffitti（一部除く）が担当しています。以下、各楽曲の詳細です。

1. ∠RECEIVER (作詞：新藤晴一／作曲：岡野昭仁)
スケール感のあるオープニングナンバーとして制作されました。仮タイトルは「Opening」。恋愛以外のテーマにも挑戦した意欲作で、スマトラ沖地震と津波をテーマにした歌詞も含まれています。ラジオやNHK『SONGS』で先行公開されました。

2. アニマロッサ (作詞・作曲：岡野昭仁)
29thシングル曲。

3. 瞳の奥をのぞかせて (作詞：新藤晴一／作曲：岡野昭仁)
30thシングル曲。

4. ネガポジ (作詞・作曲：新藤晴一／編曲：篤志)
ak.hommaが参加していない初の楽曲。編曲を篤志が担当しており、制作過程の違いが新鮮だったとメンバーは語っています。この曲は、ポルノグラフィティ初のデジタル・ディスコ曲で、パーティーノイズやうぐいすボーイズ&ガールズの笑い声といった効果音が使用されています。

5. クリシェ (作詞・作曲：新藤晴一)
「クリシェ（Cliché）」とは「常套句」「決まり文句」を意味します。「どこにでもある言葉で歌詞を書け」というプレッシャーへの挑戦として制作されました。チェロの音色が特徴的です。

6. IN THE DARK (作詞・作曲：新藤晴一)
「暗闇」を擬人化した歌詞で、変化を求める中で葛藤する心情を描いています。シングルを除くアルバム収録曲では最初に制作された楽曲で、フリューゲルホルンが使用されています。

7. Introduction 〜迫リ来ルMONSTER〜 (次トラックのイントロ)
アニメ調の構成で、水樹奈々とゆかなが声優として参加しています。晴一と昭仁も、それぞれオペレーターと爆発に巻き込まれる人物として参加しています。構成は今浪祐介が担当しました。

8. MONSTER (作詞：岡野昭仁／作曲：新藤晴一)
「けり」という表現が印象的な歌詞で、昭仁が自身の自問自答をテーマに詞を書き下ろしました。ラジオや『ミュージックステーション』で先行公開されました。

9. この胸を、愛を射よ (作詞・作曲：新藤晴一)
28thシングル曲。

10. 曖昧なひとたち (作詞・作曲：岡野昭仁)
「曖昧」なものへの希望を込めた歌詞。現代社会への提案とも捉えることができる楽曲です。

11. 光の矢 (作詞・作曲：新藤晴一)
源義経と源平合戦の一ノ谷の戦いをテーマに制作されました。

12. 今宵、月が見えずとも (作詞：新藤晴一／作曲：岡野昭仁)
27thシングル曲。

13. ロスト (作詞・作曲：岡野昭仁)
昭仁の母親を偲んで制作された楽曲。演奏時間は6分を超え、ポルノグラフィティの楽曲としては最長です。アウトロには、アルバム曲の一部が逆再生された音や、35thシングル「2012Spark」のサビの元となったメロディーが収録されています。

参加ミュージシャン、スタッフ

アルバムには、多くのミュージシャン、スタッフが参加しています。それぞれの役割や貢献は、アルバム全体のクオリティを高める上で欠かせないものでした。

まとめ

『∠TRIGGER』は、ポルノグラフィティの音楽性と表現力の幅広さを示す、充実した内容のアルバムと言えるでしょう。メンバー自身の作詞・作曲による楽曲、個性的なゲスト参加、そして多彩なサウンドアレンジが、聴く者の心に深く響く作品となっています。オリコンチャートでの1位獲得も納得の、聴き応え十分な一枚です。

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