PBM (航空機)

PBM マリナー：アメリカ海軍の双発飛行艇

PBM マリナー（Martin PBM Mariner）は、アメリカ合衆国のマーティン社が開発し、アメリカ海軍などで運用された双発の飛行艇です。愛称は「マリナー (Mariner)」、船員や水夫を意味します。

概要

PBM マリナーは、PBY カタリナ哨戒機の後継機として開発されました。第二次世界大戦の中期以降、哨戒、海上救難、輸送などの多様な任務で活躍し、1950年代まで第一線で使用されました。アメリカ海軍だけでなく、イギリス空軍やアメリカ沿岸警備隊でも運用されています。

アメリカ海軍は1937年にXPBM-1としてマーティン社に発注を行い、試作機は1939年2月18日に初飛行しました。量産は1940年に開始され、総生産機数は1,285機に達しました。

設計

PBM マリナーは、レシプロエンジン双発の飛行艇であり、特徴的なガル翼を採用しています。これは、エンジンを海面から離し、波浪の影響を受けにくくするための設計です。補助フロートは当初引き込み式でしたが、PBM-3以降は固定式に変更されました。尾翼は上反角が付けられたH型となっています。

機体規模、性能ともにPBY-1 カタリナを大きく上回っており、PBM-3Dでは、エンジンナセル内側の主翼下面にハードポイントが設けられ、2000lbの魚雷を装備することができました。また、爆弾倉をエンジンナセル中央に設け、各種爆弾を搭載できました。

各型

XPBM-1: 試作機。
PBM-1: 初期量産型。
PBM-2: 燃料タンク増設型。1機のみ製造。
PBM-3: ライト R-2600-12エンジン搭載。以下のサブタイプが存在します。
PBM-3C: イギリス向け、ライト R-2600-22エンジン搭載。
PBM-3D: 爆弾搭載量、武装強化型。
PBM-3R: 武装を撤去し、33名の座席を設置した人員輸送型。
PBM-3S: 対潜哨戒機型。
PBM-4: エンジンをライト R-3350-8に換装・強化。
PBM-5: エンジンおよび武装強化型。1944年生産開始。
PBM-5A: 水陸両用機型。
PBM-5S: 対潜哨戒機型。機上レーダー (AN/APS-2F)、MAD (AN/ASQ-1)、ソノブイ (AN/ARR-31)、ECM (AN/APA-11、AN/APR-4)、サーチライト (L-11)、対潜魚雷 (Mk.24) の搭載・運用が可能であり、最大12,800lbs (5,806kg) の爆弾搭載能力も有していました。

PBM マリナーは、その優れた性能と多様な任務遂行能力により、第二次世界大戦およびその後の時代において、アメリカ海軍の重要な戦力として活躍しました。

関連項目

偵察機・哨戒機の一覧
Be-6

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