PC Engine FAN

PC Engine FAN：PCエンジン黄金期の思い出を彩るゲーム専門誌

1988年から1996年まで、徳間書店インターメディアより発行されていたゲーム雑誌『PC Engine FAN』。PCエンジン、そして後継機PC-FXに関する情報を網羅した専門誌として、長きに渡り多くのゲーマーを魅了しました。本稿では、その歴史と魅力を紐解きます。

誕生と隆盛：ライバル誌との競争と独自路線

『PC Engine FAN』は、1988年10月30日に創刊。同時期に発行されていた『月刊PCエンジン』（小学館）、『マル勝PCエンジン』（角川書店）に先んじる形でスタートしました。元々は『ファミリーコンピュータMagazine』内のコーナーが独立したものであり、その姉妹誌的な立ち位置、そしてスタッフ構成からも、ファミマガのテイストを受け継いでいたと言えるでしょう。対象年齢層はファミマガよりもやや高く設定され、PCエンジンソフトの紹介に加え、アーケードゲームやPCゲーム、映画などの情報も掲載。特に初期は、メーカー広報や開発スタッフへの直接取材を重視し、他誌よりもメーカー関係者の露出が多かったことが特徴です。

ライバル誌との競争も熾烈を極めました。『月刊PCエンジン』がハドソンとの繋がりを生かし『天外魔境 ZIRIA』のスクープを連発する中、『PC Engine FAN』はNECアベニューとの連携で『スーパーダライアス』関連のスクープを掲載。独自の取材網を築き上げました。

ユーザー参加型企画と独自の評価システム

1990年8月号からは読者投稿ページ「READER'S LAND」を本格展開。PCエンジンの周辺情報、イラスト、ソフトレビューなどが掲載され、ユーザー視点の濃いコンテンツを提供しました。特にソフトレビューは、メーカーへの忖度を廃したユーザーの率直な意見を掲載。読者参加型の企画「法定倶楽部」のような、業界への提言も行われました。

他誌が編集者によるクロスレビューを採用する中、『PC Engine FAN』は一貫して読者による点数方式を採用。ユーザー目線での評価を重視する姿勢を貫きました。

表紙キャラクター「愛」の誕生と人気

1993年からは、オリジナルキャラクター「愛（まな）」が表紙を飾るようになりました。名前は読者公募で決定されました。雑誌の終盤には、愛の声優を決める企画を実施。5人の候補者の中から、読者投票を経て山崎和佳奈さんが選ばれ、『愛のMemorial file』というデジタル画集にも起用されました。

PCエンジン市場の変化と雑誌の転換

PCエンジンの市場がCD-ROM主体へと移行するにつれ、アニメ絵のデモや有名声優起用、美少女キャラクターを前面に押し出したソフトが増加しました。『PC Engine FAN』も、市場の変化に合わせて、ゲームキャラクターや声優の紹介記事を増やすなど、誌面内容を変化させていきます。

休刊とその後

1996年、『電撃PCエンジン』がギャルゲー総合誌へと転換。NECハードが苦戦する中、『PC Engine FAN』も苦境に立たされました。増刊誌『Virtual IDOL』も存在し、同じ路線を続けることは難しく、自作ゲームのサポートに活路を見出そうと試みましたが、1996年10月号で休刊となりました。その後、1997年には『Super PC Engine FAN DELUXE』というムックが2冊刊行されました。

思い出深い企画の数々

『PC Engine FAN』では、読者にとって忘れられない企画も数多く実施されました。例えば、出荷本数が少なく入手困難だったシューティングゲーム『マジカルチェイス』を創刊5周年記念企画として本誌限定で再版したり、『ときめきメモリアル』の限定版パッケージを通信販売するなど、読者へのサービス精神旺盛な姿勢を見せていました。また、RPG『コズミック・ファンタジー』の連載漫画も人気を博しました。

まとめ

『PC Engine FAN』は、単なるゲーム情報誌にとどまらず、読者参加型の企画や独自の評価システムなど、数々の試みを通じて、多くのゲーマーに愛された雑誌でした。その歴史は、PCエンジン黄金期の思い出とともに、これからも多くの人の心に刻まれ続けるでしょう。

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