PDP-14

PDP-14: 産業用特定用途コンピュータ

PDP-14は、1969年にデジタル・イクイップメント・コーポレーション（DEC）によって導入された、特定の用途に合わせて設計されたコンピュータです。このマシンは、DECの汎用コンピュータとは異なり、シンプルに「コンピュータ」と呼ばれることが多かったです。基本的に、PDP-14は産業用制御装置としての役割を持ち、プログラマブルロジックコントローラ（PLC）のような用途に適していました。

ハードウェア構成

PDP-14は、12ビットの命令幅を持ち、最大で4Kワードの命令を格納できる能力を有していました。このシステムは、1つの制御ユニットと複数の拡張ボックスから構成されており、これにより柔軟な入出力機能を実現しています。主に使われるボックスは以下の通りです:

• - I-ボックス (BX14): 制御対象からの入力を行い、最大で256の入力源に宛先アドレスを付けることが可能です。
• - O-ボックス (BY14): 最大で255の駆動装置を制御します。
• - A-ボックス: タイマーモジュールまたはデータ保持モジュールが含まれ、電源が失われてもデータを保持します。これは出力アドレス空間をO-ボックスと共有しています。
• - S-ボックス: O-ボックスに類似していますが、実際の出力デバイスはありません。このボックスは中間結果を保存する機能を提供し、他のボックスと出力アドレス空間を共用することが可能です。

全体として、O-ボックス、A-ボックス、S-ボックスが使用する出力アドレス空間は255個以下に制限されます。

レジスタ

PDP-14は、7つの12ビットレジスタを装備しており、各レジスタには特定の役割が設定されています。これらのレジスタは以下の通りです:

• - IRレジスタ: 命令レジスタとして機能します。
• - PC1レジスタ: プログラムカウンタとしての役割を果たします。
• - PC2レジスタ: スタックの代わりにPC1の内容を一時的に保存します。
• - MBレジスタ、SPAREレジスタ、INPUTレジスタ、OUTPUTレジスタ: その他のデータ処理に使用されます。

命令セット

PDP-14の命令セットには、いくつかの重要な命令が含まれています。例としては以下のものがあります:

• - TRR (Transfer Register): 特定のレジスタ間でデータを移動する命令です。特にPC1およびSPAREレジスタにはインクリメントおよびデクリメント機能があり、TRR命令がそれらに対しても使用できます。
• - JMS (Jump to Subroutine): 指定されたアドレスへサブルーチンを呼び出す命令です。
• - JMR (Jump to RETURN): サブルーチンから戻る命令。通常、最後に実行されたJMS命令のアドレスに関連して動作します。
• - SKP (Skip): PC1レジスタを1加算する命令で、条件分岐に利用されます。
• - TESTおよびSET命令: 入力信号の状態を確認したり、特定の出力を設定したりする役割を担います。

ソフトウェア開発

初期のPDP-14は、DECによってプログラミングされる必要がありましたが、後にPDP-8上でPDP-14用のソフトウェアが開発されました。このPDP-8プログラムは「SIM-14」と呼ばれ、PDP-14の動作をエミュレートすることができました。

このように、PDP-14は特定の産業用途に特化した設計を持ち、柔軟性や拡張性に優れたコンピュータとして、エレクトロニクスや自動化分野で重要な役割を果たしていました。

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