PDP-8

PDP-8の概要

PDP-8は1965年に登場し、世界初の商業的に成功した12ビットミニコンピュータとして知られています。製造したのはデジタル・イクイップメント・コーポレーション (DEC) で、当時このシリーズは約5万台が販売され、DECにとっても大きな成果を上げました。設計を指揮したエドソン・デ・カストロは、その後データゼネラルを設立しました。

このコンピュータは、PDP（Programmed Data Processor）シリーズの一部であり、PDP-5の後継機種として位置付けられています。最初のモデルであるPDP-8は、ダイオード・トランジスタ・ロジック（DTL）を採用し、小型冷蔵庫程度のサイズで構成されていました。

様々な機種

その後の進化に伴い、デスクトップ型やラックマウント型のPDP-8/Sが登場し、より小型で低価格が実現されましたが、性能には限界がありました。PDP-8/S専用のストレージとしては、容量32KワードのDF32ディスク装置がありました。バリエーションとしては、PDP-8/I、/L、/E、/F、/M、/Aなど多くのモデルがあり、特にPDP-8/Eは周辺機器接続の柔軟性から、広く利用されていました。

1975年にはAltair 8800のような初期のパーソナルコンピュータが登場し、次々とTRS-80やApple IIが続くと、PDP-8は小型汎用コンピュータ市場での競争に直面します。そして、1979年に最後のバージョンであるCMOS-8sが発表されますが、その価格は市場に受け入れられませんでした。1981年のIBM PCの登場は、PDP-8に決定的な影響を与えました。

技術的な特徴

PDP-8は技術的にも革新をもたらしました。特に、入出力機構やオペレーティングシステム設計において大きな影響を与えました。特に、プログラムドI/O (PIO) バスとDMAチャネルを搭載しており、それにより周辺機器との連携が大幅に向上しました。ワード長は12ビットで、数値範囲を広く扱えるため、計算のお供としても十分な性能を持ちました。

主記憶は初期状態で4,096ワードを扱い、更なる拡張も可能です。命令セットはシンプルで、最初は8種類の命令しか持たず、性能は0.333 MIPSでしたが、後期の機種ではレジスタの増設や新命令が追加され、機能が充実しました。

プログラム開発とエミュレーション

初期のPDP-8では、機械語をフロントパネルから入力する方法が用いられましたが、後にはPAL-8アセンブリ言語やFORTAN、BASICなどの高級言語もサポートされました。最終的にはOS/8などのオペレーティングシステムによって、開発環境が整備されました。現代では、PDP-8のシミュレーションソフトウェアも登場し、オペレーティングシステムの実行が可能です。

I/Oシステムと命令セット

PDP-8のI/Oシステムは、初期からフロントパネルや紙テープリーダー、テレタイププリンターなどが構成要素でした。後に磁気テープやフロッピーディスク装置が追加され、入出力の選択肢が増えました。はるかに多様化した現代の周辺機器と比較すると、初期のPDP-8は万全ではありませんが、その設計理念の下では多くの可能性を秘めていました。

命令セットは12ビットワードで構成され、シンプルかつ効率的に設計されています。これにより、基本的な操作はもちろん、より複雑なプログラムの実装も可能です。

前進と影響

PDP-8は最初の12ビットミニコンピュータとしての役割を果たすだけでなく、その後のコンピュータ設計やソフトウェア開発においても影響を与え続けました。従来の技術に対する革新や発展を促し、ミニコンピュータの先駆者として記憶される存在です。

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