PITCHf/x

PITCHf/x: 野球投手のパフォーマンスを計測するシステム



PITCHf/xは、スポーツビジョンが開発した野球専用の投球データ計測システムであり、主に投手の投球速度や軌道を解析するために用いられています。このシステムは2006年のメジャーリーグベースボール（MLB）ポストシーズンに初めて導入され、2017年にスタットキャストシステムに移行するまで、全30球団の本拠地球場に設置されていました。

このシステムは、マウンドから本塁に向かう投手の投球を追跡し、球速やマグヌス効果によって生じる変化、リリースポイント、スピン量、さらに球がストライクゾーン内に入ったかどうかも測定します。投球データは、MLB公式のオンラインプラットフォームであるGamedayを通じてほぼ毎試合更新され、観戦者や分析者が容易にアクセスできるようになっています。

Gamedayで提供される指標の一つにBRK量があります。これは、実際の球の軌道と、無回転状態で投げられた場合に想定される本塁上での位置との最大の距離を表しています。このため、カーブやスライダーといった変化球は速球に比べて大きな値を示す傾向にあります。もう1つのPFX量は、実際の投球と、同条件下で無回転で投げた場合の理想的な位置との距離を示すものです。特にスピン量が多い投手は、この数値が高くなる傾向があります。

PITCHf/xの導入当初は、ポストシーズンゲームでのデータ測定が行われ、2007年からは全30球団の本拠地球場に拡張されました。2006年から2007年にかけては、異なるフィート地点（40、45、50、55フィート）での測定が行われましたが、2008年以降は主に50フィート地点から統一されたデータを使用しています。ただし、2010年にはカンザスシティ・ロイヤルズの投手において本拠地カウフマン・スタジアムでの測定値が他球場よりも約3.2km/h速く計測されるなど、一部の球場でのデータの整合性について疑問が呈されることもありました。

このシステムを通じて計測された最高球速は、2010年にシンシナティ・レッズのアロルディス・チャップマン選手が記録した105.1mph（約169.1km/h）です。これは投球データ解析の新たな可能性を示す重要な成果とされています。

まとめ


PITCHf/xは、野球のプレーヤーとファンにとって非常に重要なデータを提供するシステムであり、選手のパフォーマンス向上や戦術の分析に貢献しています。今後も、野球の技術進化に伴い、データ解析の役割はますます重要になっていくことでしょう。

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