スピード測定器

スピード測定器とは

スピード測定器は、運動している物体の速度を特定方向成分で測定する機器です。一般には、ディケイター・エレクトロニクスの商標である「スピードガン」という名称で広く知られています。この機器は、電波を利用して対象物の速度を測定するため、光速を超えない限り、理論的には計測が可能です。

原理と構造

スピード測定器は、測定対象の物体に向けて電波を照射し、物体からの反射波を測定します。物体が運動している場合、ドップラー効果によって反射波の周波数が変化します。この変化した周波数と発射波の周波数を比較することで、物体の速度を算出します。

自動車の速度違反取締り

スピード測定器は、制限速度を超過して走行している自動車を検出するためにも用いられます。電波法上は無線標定陸上局または無線標定移動局に分類され、警察が使用する場合は、第二級陸上特殊無線技士以上の無線従事者による操作や監督が必要です。

自動で速度違反車の証拠写真を撮影するスピード測定器は、「オービス」という名称で知られています。また、近年では、2地点間の平均走行速度で取り締まる「平均速度取締装置」がヨーロッパを中心に導入されています。

野球の球速測定

野球では、投手が投げるボールの速さを測定するためにスピードガンが用いられます。英語では「レーダーガン(Radar gun)」と呼ばれます。日本では、空中線電力0.1W以下の適合表示無線設備であれば、無線従事者なしで誰でも使用できます。

日本での導入経緯

スピードガンが日本に初めて伝わったのは1976年です。翌年からスカウト活動で使われるようになり、1979年にはプロ野球の全球団に広まりました。テレビ中継で球速表示が初めて行われたのは、1979年4月1日の巨人対阪神戦です。球場の電光掲示板に球速が表示されるようになったのは、1980年4月5日のナゴヤ球場からです。甲子園球場では、2004年の選抜高校野球からオーロラビジョンで球速が表示されるようになりました。

メジャーリーグでの活用

メジャーリーグでは、日本に先駆けて20世紀後半からスピードガンが球速測定に使われてきました。1974年には、元メジャーリーガーのダニー・リトワイラーがJugs Sports社と共同でスポーツ向けのスピードガンを開発しました。このスピードガンは、スカウト活動や選手育成に役立てられました。また、2006年からは投球解析装置「PITCHf/x|PITCHf_x」が導入され、球速だけでなく、投手のリリースポイントやボールの回転数、変化球の曲がり具合なども解析できるようになりました。さらに近年では、デンマークのトラックマン社が開発したドップラー・[[レーダー]]を利用した解析装置も登場し、ボールの伸びなども解析できるようになっています。

球速測定の歴史

機械的な装置を使った球速測定は、戦前から行われています。1912年にはレミントン・アームズ社が自社の弾速測定装置でウォルター・ジョンソンらの球速を測定しました。1917年にはアメリカ陸軍弾道研究所がクロノグラフを用いた本格的な測定を行っています。その後も、様々な方法で球速測定が試みられてきました。

まとめ

スピード測定器は、電波のドップラー効果を利用して物体の速度を測定する便利な機器です。自動車の速度違反取締りから野球の球速測定まで、幅広い分野で活用されています。技術の進歩により、その精度や機能はますます向上しており、今後のさらなる発展が期待されます。

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