PLATINUM (カシオペアのアルバム)

『PLATINUM』（プラティナム）は、日本の人気フュージョンバンド、カシオペアが1987年に発表した、通算17枚目のオリジナル・アルバムです。この作品は、バンド自身が新たに設立したプライベート・レーベル「AURA」からの記念すべき第一弾リリースとして制作され、当時のカシオペアの新たな展開を象徴する一枚となりました。革新的なサウンドへの探求と、多様なゲストミュージシャンとのコラボレーションにより、バンドの音楽世界をさらに広げた作品として位置づけられています。

本作は、発表当時LP盤とCD盤の2種類のメディアでリリースされており、収録曲構成が異なっている点が特徴です。特にCD盤には、LP盤には収録されていないボーナス・トラックが追加収録され、異なる曲順で構成されています。具体的な曲名についてはインプットに記載がないため言及はできませんが、メディアごとの違いがリスニング体験に変化をもたらしました。

アルバムのサウンドは、カシオペアの卓越したレギュラーメンバー4人の演奏を中心に構築されています。バンドリーダーである野呂一生は、エレクトリックギター、フレットレスギター、アコースティックギターを巧みに操り、楽曲にメロディとハーモニーの彩りを加えます。キーボードの向谷実は、当時最先端のデジタルシンセサイザーやサンプラーを含む多様な機材を駆使し、サウンドに豊かなテクスチャーと表現力を与えています。ベースの櫻井哲夫は、力強いグルーヴとテクニカルなプレイで楽曲の土台を支え、ドラムスの神保彰は、ダイナミックかつ変幻自在なリズムでカシオペアサウンドに推進力をもたらしています。

さらに、『PLATINUM』では、アルバム全体にわたって国内外から招聘された多数のゲストミュージシャンが参加し、サウンドに多様性と奥行きを加えています。ボーカル陣では、ブラジル音楽界の巨匠ジャヴァンが特定の楽曲でリードボーカルを務め、その独特の歌声でアルバムに国際色豊かな魅力を添えています。また、カシオペア作品には欠かせない存在である楠木勇有行も複数の楽曲でリードボーカルを担当し、エモーショナルな歌唱を披露しています。彼ら以外にも、セドリック・サムソン、ダイナ・ミラー、アマンダ・ブルーといったアーティストがバックグラウンド・ボーカルとして参加し、厚みのあるコーラスワークを提供しています。カシオペアのメンバー自身も、野呂一生、櫻井哲夫、向谷実、そして楠木勇有行を含む形で、一部楽曲のバックグラウンド・ボーカルに参加しています。

リズムセクションには、著名なラテンパーカッション奏者であるスティーヴ・ソーントンが参加。彼の刻むパーカッションは、特定の楽曲に生命感溢れるリズムとエキゾチックな雰囲気を加えています。また、ブラスセクションもフィーチャーされており、トランペット奏者のアール・ガードナー、アルトサックス奏者のアレックス・フォスター、そしてテナーおよびバリトンサックスを演奏し、ホーンアレンジメントも手掛けたレニー・ピケットが参加。彼らのパワフルで洗練されたホーンサウンドが、楽曲に華やかさとダイナミズムをもたらしています。

制作クレジットとしては、バンドリーダーの野呂一生と宮住俊介がプロデューサーとしてアルバムのサウンドディレクションを統括しました。エグゼクティブ・プロデューサーには萩原克己、Shinichi Toyamaが名を連ねています。レコーディングおよびミックスエンジニアは主にアンディ・ヒアマンズが手掛け、そのクリアで力強いサウンドが高く評価されています。特定のボーカルトラックのエンジニアリングはレス・ブロックマンが担当しました。アシスタントエンジニアとしては、マーク・パーティスやブライアン・ラッターが制作をサポートしています。アルバムのヴィジュアル面では、光井戸夫（Mitsuo Katsui）がアートディレクション、デザイン、イラストレーションを担当し、アルバムのコンセプトを視覚的に表現しました。ビジュアル・スーパーバイザーは富岡昌宏（Masahiro Tomioka）と澤美幸（Miyuki Sawa）が務めています。

『PLATINUM』は、カシオペアが新たなレーベルで歩み始めた第一歩として、メンバーの高度な演奏力に加え、国内外の多様な才能とのコラボレーションを通じて、バンドの音楽性をさらに進化させた意欲的なフュージョン作品です。豪華なゲスト参加と洗練されたサウンドプロダクションは、カシオペア後期の代表作の一つとして、ファンの間で語り継がれています。

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