PQ-14 (航空機)

PQ-14：アメリカ陸軍航空隊の無線操縦標的機

第二次世界大戦中、アメリカ陸軍航空隊は効果的な対空砲兵訓練のため、無線操縦による標的機の必要性が高まりました。このニーズに応えるべく開発されたのが、カルヴァー社製のPQ-14です。本機は、民間機として人気のあったカルヴァー・カデットを原型とし、軍用無人標的機として改良されました。

設計と開発

PQ-14の開発は、先行機種であるPQ-8の成功を基盤として進められました。PQ-8は、カルヴァー・カデットの軍用無人標的機型として採用された機体で、その経験がPQ-14の設計に活かされました。PQ-14はPQ-8よりも大型化され、高速性能と引き込み式降着装置を備えるなど、性能が向上しました。機体構造には合板製応力外皮を採用するなど、軽量化と堅牢性の両立が図られています。

試作機であるXPQ-14を経て、量産型であるPQ-14Aが1,348機製造されました。そのうち1,198機はアメリカ海軍に移譲され、TD2C-1と改名されました。さらに、重量を増した派生型であるPQ-14Bも594機が製造され、アメリカ陸軍航空隊で使用されました。PQ-14シリーズは、フランクリン製の空冷エンジンを搭載し、信頼性の高い運用を誇っていました。

運用と歴史

XPQ-14は1942年に初飛行を行い、すぐに訓練部隊に配備されました。本機は無人機として無線操縦で飛行しましたが、フェリー飛行時にはパイロットが搭乗することもありました。操縦性は良好で、標的機としては鮮やかな朱色に塗装されていましたが、実運用では銀色や赤色に塗装された機体もあったようです。母機となるビーチC-45などの支援機からの操縦も行われました。

PQ-14は短命な機体でしたが、その信頼性と性能は高く評価されていました。多くの機体は対空射撃訓練で使用され、「撃墜」されましたが、一部の機体は生き残り、戦後も民間市場で活用されました。民間機として使用されたPQ-14は、その優れた飛行特性を改めて評価されることになりました。

現存する機体

現在でも、いくつかのPQ-14が保存されています。カリフォルニア州チノのプレーンズ・オブ・フェイム航空博物館には飛行可能な状態の機体が1機、国立アメリカ空軍博物館にも1機が収蔵されています。また、アイオワ州ブレイクスバーグのAirpower Museumには、1970年代に航空ショーで飛行していたN5526Aが展示されています。

主要諸元 (PQ-14A)

PQ-14は、第二次世界大戦中の対空砲兵訓練に大きく貢献した機体です。その歴史と性能は、航空史において重要な位置を占めています。

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