PRISM (人工衛星)

PRISM（プリズム）について

PRISMは東京大学中須賀研究室が手掛けた超小型人工衛星で、愛称は「ひとみ」です。この人工衛星は、2009年1月23日にH-IIAロケット15号機によって、ピギーバック方式で打ち上げられました。PRISMは、特に高解像度の地表撮影を目的として設計されており、この分野での技術試験と実証が行われています。

開発の経緯

PRISMの開発は2000年から2001年にさかのぼります。中須賀研究室では、既存のバス機能を基盤として、2002年にPRISM（当時はCubeSat2という名称）プロジェクトをスタートしました。ただし、XIの打ち上げに伴い、開発は一時中断されましたが、2006年から再び本格的に進行し始めました。

衛星の主な目的は、次の3つです：
1. 進展式屈折望遠鏡を使用した地球の撮影: これにより、約30mの地表分解能で地球を観測し、技術の試験と実証を行います。
2. 低価格な民生品の使用: 超小型衛星の各要素について、技術の試験を行い、実証を重ねることです。
3. 多様なアマチュア無線サービスの実施: アップリンク系の一部を開放し、より広範な無線サービスの試行を目指します。

また高解像度撮影を実現するために、衛星には能動的な姿勢制御機能が備えられています。具体的には、重力傾斜トルクと磁気トルクを使って望遠鏡を地球方向に向け、角速度0.5度/s以下の安定性を確保する設計となっています。これにより、よりクリアな画像が取得可能となっています。さらに、 XIシリーズからはデータ処理能力や通信能力が大幅に改善されています。

打ち上げと運用

2007年の夏、いぶきの相乗り衛星としてPRISMは選ばれ、2009年の打ち上げに至りました。打ち上げの初日には、地上との通信が行われ、すぐにデータ収集が開始されました。2009年2月25日には、50cmの伸展ブームの展開に成功し、その後、地上分解能30cmの画像を無事取得することができました。PRISMは現在も運用が続けられています。

PRISMの名前の「P」はピコサットから来ていますが、実際の衛星の質量は約8kgあり、分類としてはナノサットに該当します。この衛星は、技術革新を追求しながら、宇宙における観測の可能性を広げる一翼を担っています。今後も新たなデータを提供し続けることが期待されています。

参考文献

• - “PRISMについて”, 中須賀研究室, 2016年5月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年5月5日閲覧。
• - 『日本の宇宙開発 果てしなき空間への果てしなき夢』, GAKKEN、2009年。ISBN 978-4-05-605617-4。

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