PR/SM

PR/SM（Processor Resource/System Manager）とは

PR/SM（プロセッサー・リソース/システム・マネージャー）は、IBMのメインフレームに搭載されている仮想化技術です。1台のメインフレーム上で、複数の独立した論理区画（LPAR：Logical Partition）を作成し、それぞれに異なるOSを稼働させることができます。これにより、物理的なリソースを効率的に利用し、システムの柔軟性と可用性を向上させることが可能です。

PR/SMの歴史と特徴

PR/SMは1987年に登場し、それ以降のIBMメインフレーム（S/390、z Series、Multiprise 3000、System zなど）に搭載されています。これは、メインフレーム専用のハイパーバイザーであり、主にファームウェア（マイクロコード）によって実装されています。ソフトウェアによる仮想化技術であるCP（現在のz/VM）の基本機能をファームウェア化したものと見なすことができます。

PR/SMの最大の特徴は、1台のメインフレームのコンピューター資源（CPU、メモリ、チャネルなど）を、複数の論理区画に柔軟に割り当てられることです。さらに、これらの資源配分は、システム全体の停止を伴うことなく動的に変更することが可能です。これにより、変化するワークロードの要求に迅速に対応し、システムの運用効率を最大限に引き出すことができます。

論理区画（LPAR）とOS

PR/SMを使用すると、モデルによって15個から60個程度の論理区画を作成できます。各論理区画では、z/OS、z/VM、z/VSE、Linux on System zなど、さまざまなOSを独立して稼働させることができます。これにより、異なるシステム環境を同一の物理マシン上で共存させることができ、リソースの有効活用と運用コストの削減に貢献します。

高度な機能

PR/SMは、IRD（Intelligent Resource Director）やEMIF（ESCON複数イメージ機能）といった他の機能と連携することで、さらに高度なシステム運用を実現します。IRDを使用すると、論理区画間でのワークロード管理を自動化し、リソースの利用効率を最適化することができます。EMIFを使用すると、複数の論理区画から1つのESCONチャネルを共有することが可能になり、接続の柔軟性が向上します。

「LPAR」という表現の普及

近年では、サーバーを含めたより一般的な仮想化技術の進展により、「PR/SM」という用語よりも「LPAR」という表現が広く使われるようになっています。しかし、内部的にはPR/SM（および後継のハイパーバイザー）が、LPARの基盤技術として機能していることに変わりはありません。

まとめ

PR/SMは、IBMメインフレームの仮想化技術の中核を担う重要な機能です。1台の物理マシン上で複数の論理区画を作成し、各区画に独立したOSを稼働させることで、リソースの効率的な利用、システムの柔軟性と可用性の向上、運用コストの削減に貢献しています。現在では、LPARという表現が一般的になっていますが、その根底にはPR/SMの技術が活かされています。

関連項目

仮想化
ハイパーバイザ

外部リンク

* LPAR and PR/SM - IBM Systems Magazine

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