PaSoRi

PaSoRi（パソリ）とは

PaSoRi（パソリ）は、ソニーが製造・販売している外付けタイプの非接触型ICカードリーダー/ライターのブランド名です。以前は「FeliCaポート/パソリ」や「NFCポート/パソリ」といった表記もされていましたが、現在では単に「パソリ」と表記されることが一般的です。

製品ラインナップ

PaSoRiには、様々なモデルが存在します。以下に各モデルの特徴をまとめました。

RC-S310

- 発売年：2001年
- 接続：USB
- 対応OS：Windows 98/Me/2000/XP/Vista/7/8.x、PLAYSTATION 3
- 対応ICカード：FeliCaのみ
- 特徴：アクティブとアクセスのLEDランプを搭載。スタンド内蔵。
- その他：2022年6月30日にソフトウェア提供終了。

RC-S320

- 発売年：2004年10月
- 接続：USB
- 対応OS：Windows 98/Me/2000/XP/Vista/7/8.x、PLAYSTATION 3
- 対応ICカード：FeliCaのみ
- 特徴：ユーザーコミュニティでは「白パソリ」と呼ばれる。アクセスLEDランプは非搭載。
- その他：USBコネクタ部品の不具合で無償交換が行われたが、2013年9月30日に受付終了。2022年6月30日にソフトウェア提供終了。

RC-S330

- 発売年：2009年1月21日
- 接続：USB
- 対応OS：Windows XP/Vista/7/8.x/10、PLAYSTATION 3
- 対応ICカード：NFC（FeliCa、MIFAREなどISO/IEC 14443|ISO_IEC 14443 Type A/B）
- 特徴：ユーザーコミュニティでは「黒パソリ」と呼ばれる。アクティブLEDランプは非搭載。USB-Mini-Bポートを搭載。
- その他：業務用途専用モデル（RC-S330/S）も同時に発売。2022年6月30日にソフトウェア提供終了。

RC-S370

- 発売年：2010年10月13日
- 接続：USB
- 対応OS：Windows XP/Vista/7/8.x/10、PLAYSTATION 3
- 対応ICカード：NFC（FeliCa、MIFAREなどISO/IEC 14443|ISO_IEC 14443 Type A/B）
- 特徴：RC-S330との違いは専用スタンドの同梱。CD-ROMは非同梱。
- その他：2022年6月30日にソフトウェア提供終了。

RC-S380

- 発売年：2012年10月10日
- 接続：USB
- 対応ICカード：NFC
- 特徴：NFCフォーラム認定。タッチ面にNFCフォーラムのNマークが描かれている。PC/SC 2.0準拠。
- その他：業務用途専用モデル（RC-S380/S）も発売。

RC-S390

- 発売年：2013年10月7日
- 接続：Bluetooth
- 対応OS：iOS専用
- 特徴：充電式。充電用micro USB-Bポート搭載。
- その他：業務用途専用モデル（RC-S390/S iOS専用、RC-S390/SW Windows対応）あり。

RC-S300

- 発売年：2021年11月11日
- 接続：USB
- 対応OS：Windows 8.1/10/11、macOS 10.15/11
- 特徴：アクティブ/アクセスLEDランプ搭載。micro USB-Bポート搭載。1つのLEDランプでアクティブとアクセスの状態を表示。

同等機能を持つ製品

PaSoRiの名を冠していませんが、同等の機能を持つ製品も存在します。

RC-S340

- 接続：PCカード
- 対応OS：Windows 2000/XP/Vista（32bitのみ）
- 対応ICカード：FeliCaのみ

RC-S360

- 発売年：2010年12月8日
- 形状：USBスティック型
- 対応OS：Windows 2000/XP/Vista/7/8.x/10
- 対応ICカード：NFC（FeliCa、MIFAREなどISO/IEC 14443|ISO_IEC 14443 Type A/B）
- その他：楽天Edyからも「楽天Edyリーダー」として提供されていた。2022年6月30日ソフトウェア提供終了。

また、PaSoRiの名を冠していない組み込み用モジュール（RC-S625シリーズ）も存在し、ノートPCなどに内蔵されている場合があります。

類似の他社製品

アイ・オー・データ機器とトッパン・フォームズが開発し、アイ・オー・データ機器が販売していたNFCリーダー・ライター「ぴタッチ」「NFC-ST」「NFC-RW」「USB2-NFC2」は、PaSoRiとの互換性はありません。しかし、これらの製品に付属していたedyviewer2.1にはfelicatonfc.dllというAPIラッパDLLが同梱されており、このライブラリを使用することで、一部機能をPaSoRi用ソフトウェアから利用できる場合があります。ただし、メーカー保証外です。

主な対応サービス

PaSoRiは、以下のサービスに対応しています。

- e-Tax：インターネット上での確定申告。マイナンバーカードとNFC対応モデル（RC-S330以降）で利用可能。
- SFCard Viewer Web版：交通系電子マネーカードの残高確認、利用履歴確認。
- Edy Viewer：楽天Edyカードへのチャージ、残高確認、Edyギフト受け取り。
- WAONネットステーション：WAONへのチャージ、ポイントダウンロード。
- Suicaインターネットサービス：クレジットカードからSuicaへのチャージ、Suicaでのネットショッピング決済（2020年5月サービス終了）。

主な対応アプリケーション

PaSoRiに対応した主なアプリケーションは以下の通りです。

- eLIO D-URL：eLIO対応カードをかざすと、カードに応じたホームページを表示（2011年2月28日サービス終了）。
- SFCard Viewer / SFCard viewer 2：交通系ICカードの利用履歴、残高確認。
- スクリーンセーバーロック / スクリーンセーバーロック２：FeliCaカードやFeliCa対応ケータイでスクリーンセーバーのロック解除。
- FeliCaランチャー / かざしてナビ / FeliCa Portal for Personal：PaSoRiで利用できる各アプリケーションを起動するポータルメニュー。
- パーソナルシェルター：FeliCaカード認証でPC上に秘密領域を作成。
- かんたん登録 / かんたん登録２：住所、名前、電話番号などの情報をカードに紐づけ、サイトに自動入力。
- FeliCaブラウザエクステンション / FeliCa ツールバー：表示中のサイトURLを携帯電話に転送。
- かざして転送：パソコンから携帯電話におサイフケータイで画像やテキストデータを転送。
- かざしてログオン：FeliCaカードをかざしてPCにログオン（Windows XP/Vista/7対応、2017年3月31日ダウンロード提供終了、2018年3月31日サポート終了）。
- 電子マネービューワーウィジェット：Edy、Suica、nanaco、WAONの残高、利用履歴確認（2016年12月20日サポート終了）。

アプリケーション開発環境

PaSoRiを使用したソフトウェアを開発するためのSDKやライブラリは以下のものがあります。

- SDK for NFC / SDK for FeliCa：NFCまたはFeliCa技術を利用したアプリケーションを開発するためのツール群。

- Starter Kit：評価用。一部機能を無償で提供。商用利用不可。
- Lite：平文通信を利用したアプリケーション開発用。
- Professional：セキュリティ機能を利用したアプリケーション開発用。
- Enterprise：上記機能に加え、カードの発行機能付き。

- felicalib：Windows用FeliCaカードアクセスライブラリ（オープンソース）。
- libpasori：FeliCaカード情報読み取りライブラリ（オープンソース、Linux環境向け、開発休止）。
- libpafe：libpasoriをベースにしたライブラリ（オープンソース、Linux環境向け）。
- NFCPy：PythonからNFCを利用するためのライブラリ。