Please Mr. Lostman

『Please Mr.Lostman』（プリーズ・ミスター・ロストマン）は、ロックバンドthe pillowsが1997年に発表した5枚目のアルバムです。タイトルは、マーヴェレッツのヒット曲「プリーズ・ミスター・ポストマン」を元にした洒落たものです。

このアルバムは、the pillowsにとって重要な転換期に制作されました。前作までの売り上げ不振やリーダーの脱退といった困難な状況の中、バンドは音楽的な模索を続けていました。様々な音楽スタイルを試す中で、本作ではジャズやボサノヴァといった要素を排除し、ギター、ベース、ドラムスというロックの基本楽器に回帰しました。この潔さが、the pillowsの新たなスタイルを確立するきっかけとなりました。

サウンド面では、ロック色の強い作風が特徴です。前作までとは異なり、ストレートで力強いロックサウンドが全編を貫いています。この変化は、バンドの方向性を明確にし、その後の活動における統一感を生み出す上で重要な役割を果たしました。売り上げこそ前作と大差なかったものの、バンドは本作を通してスランプから脱却し、新たなスタートを切ることができました。

後に発表されたベストアルバム『Fool on the planet』には、本作から「TRIP DANCER」「ストレンジ カメレオン -ORIGINAL STORY-」「Please Mr.Lostman」の3曲が収録されており、アルバムの重要性を示す証左となっています。初回盤にはスリーブケースが付属していました。

収録曲は以下の通りです。

1. STALKER
2. TRIP DANCER
3. Moon is mine
4. ICE PICK
5. 彼女は今日，
6. ストレンジ カメレオン -ORIGINAL STORY-
7. Swanky Street
8. SUICIDE DIVING
9. GIRLS DON'T CRY
10. Please Mr.Lostman

全曲の作詞・作曲は山中さわおが担当しています。

特筆すべき点として、「Swanky Street」はアルバムバージョンとして再録されており、ライブでの定番曲となっています。また、レコーディングには、鹿島達也（ベース）と近藤和明（ハモンド、ピアノ）が参加しています。

『Please Mr.Lostman』は、the pillowsの歴史において、非常に重要な意味を持つアルバムです。音楽的なスランプを乗り越え、新たなスタイルを確立する上で、欠かせない作品として、多くのファンに愛され続けています。

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