PrimeGrid

PrimeGrid: 分散型素数発見プロジェクト

PrimeGridは、Berkeley Open Infrastructure for Network Computing（BOINC）を利用し、非常に大きな素数を見つけることを目的とした分散コンピューティングプロジェクトです。2005年に始まったこのプロジェクトは、素数の発見だけでなく、数学問題の解決にも貢献しています。

歴史

PrimeGridの起源は2005年5月にさかのぼります。当初はMessage@homeというプロジェクト名で、MD5形式で暗号化された文字列の解読を試みていました。このプロジェクトでは、BOINCスケジューラーをPerlに移植し、システムの移植性を向上させることを目指していました。

その後、RSA Factoring Challengeに関連するRSA-640因数分解プロジェクトに着手しましたが、同年11月に他のチームによって成功したため、次にRSA-768を対象に変更しました。しかし、RSA-768の因数分解が困難であることから、プロジェクトは見直しされ、名前もPrimeGridに変更しました。

2006年には、Riesel Sieveというプロジェクトと協力関係を築き、BOINCコミュニティとの連携も始まりました。このコラボレーションにより、PrimeGridは素数ふるいおよび検索アプリケーションの実装に成功しました。また、Twin Prime Search（TPS）との提携によって、素数探査の一環であるLLRアプリケーションがPrimeGridの公式リリースとなります。2007年初頭には、両プロジェクトが記録的な双子素数を発見しました。

2007年夏以降、PrimeGridはカレン数とウッダル数の素数判定プロジェクトを始めました。また、同年秋にはシェルピンスキー問題と3×2n-1形式の素数判定も行っています。さらに、同時期にPerlBOINCから標準のBOINCソフトウェアへの移行も行われました。

プロジェクトの概要

2017年9月時点で、PrimeGridは様々なプロジェクトを稼働または終了しています。中でも、PRPNetというプロジェクトは新しい素数探索の検証や準備を担っていました。BOINCが使用できない様々な素数探索に活用されていましたが、2018年1月時点で最新のLinuxバージョンでの動作が困難となったため、新規プロジェクトの稼働は停止しました。

ソフトウェア

PRPNetは、BOINCに似た素数探索ソフトウェアで、マーク・ローデンキルヒェンが開発しました。このソフトウェアはGUIを持たず、DOSやLinux、macOSのターミナル環境で動作します。これにより、ユーザーはインターフェースを介さずに素数探索プロジェクトに参加することができます。

PrimeGridは、こうした分散コンピューティング技術を駆使して素数の発見に取り組んでおり、今後も数学の発展に寄与する重要なプロジェクトであり続けるでしょう。

もう一度検索