QBasic

QBasicとは

QBasicは、QuickBASICを基にしたBASIC系プログラミング言語の統合開発環境（IDE）であり、インタプリタとしても機能します。IDE上で入力されたコードは中間コードに即座にコンパイルされ、必要に応じて解釈実行される点が特徴です。この即時コンパイルと実行の仕組みにより、開発者はコードの変更をすぐに確認し、デバッグ作業を効率的に行うことができました。

特徴

即時コンパイルと実行: コードを入力すると即座に中間コードにコンパイルされ、実行結果をすぐに確認できます。これにより、開発プロセスが迅速化されました。
デバッガ機能: コードのステップ実行や変数の監視など、デバッグに必要な機能が充実しており、コードの誤りを効率的に発見・修正できます。
構造化プログラミング: サブルーチンやwhile文など、構造化プログラミングをサポートしており、より複雑なプログラムも開発可能です。初期のマイクロソフトBASICとは異なり、行番号の使用は推奨されず、説明的なラベルの使用が推奨されました。
ユーザ定義データ型: 限定的ではありますが、構造体（ユーザ定義データ型）をサポートしており、複雑なデータ構造を扱うことができます。
幅広い動作環境: 少なくともPC/AT互換機の英語モードでは、MS-DOSと32ビット版Microsoft Windowsで動作し、DOSBoxやDOSEMUを使用すれば、LinuxやFreeBSDでも動作します。

歴史

QBasicは、GW-BASICの後継として開発されました。QuickBASIC 4.5コンパイラをベースにしていますが、コンパイラやリンカは含まれていません。MS-DOSやWindowsに標準で付属していましたが、日本語環境では正常に動作せず、英語モードに切り替える必要がありました。

バージョン1.0: MS-DOS 5.0以上、Windows 95、Windows 98/98SE、Windows NT 3.x、Windows NT 4.0に同梱。
IBM版: IBMはQBasicを修正し、IBM PC DOS 5.xとOS/2 2.0に同梱。
eComStation: OS/2のコードから作られたeComStationにもQBasic 1.0が含まれていました。
バージョン1.1: MS-DOS 6.x、およびEDITなしでWindows 95、Windows 98、Windows MEに同梱。EDIT.COMはQBASICを必要としなくなり、日本語版に付属するEDIT.COMは日本語環境でも動作するようになりました。
PC-9800シリーズ: PC-9800シリーズ版のMS-DOSにはQBASICは含まれていませんでしたが、PC-9800シリーズ用Windows 95/98ではAT互換機と同様にQBASICなしで動作するEDIT.COMが付属するようになりました。
Windows 2000以降: マイクロソフトはQBasicをオペレーティングシステムに同梱しなくなりましたが、Windows 2000とWindows XP向けにローカライズされたものがフリーウェアとして公開されています。

QBasicは、MS-DOS Editorと同様に、DOS 5.0以前のバージョンとも後方互換性がありましたが、初期のPCでは動作が遅くなる場合もありました。また、MS-DOS 7までは、MS-DOS EditorはQBasicを必要としており、EDIT.COMはQBasicをエディタモードで起動していました。

サンプルプログラム

QBasicには、以下のようなサンプルプログラムが付属していました。

Nibbles: ヘビゲームのバリエーション。
Gorillas: 爆発するバナナを投げるゲームで、大砲ゲームが元になっています。
MONEY MANAGER: パーソナルファイナンスマネージャ。
RemLine: GW-BASICのコードの行番号を削除するプログラム。

簡単なゲーム

以下は、1から10の範囲でランダムに選ばれた数を当てるゲームの例です。

basic
RANDOMIZE TIMER
number = INT(RND 10) + 1
DO
INPUT "Guess a number between 1 and 10: ", guess
IF guess > number THEN
PRINT "Too high."
ELSEIF guess < number THEN
PRINT "Too low."
END IF
LOOP UNTIL guess = number
PRINT "You got it!"

イースターエッグ

QBasicには、隠されたイースターエッグがいくつか存在します。DOSプロンプト上でQBasicを起動し、タイトル画面が表示される前に特定のキーの組み合わせ（左Ctrl + 左Shift + 左Altと右Ctrl + 右Shift + 右Alt）を同時に押すと、プログラマーのチームが表示されます。現代のPCでは処理速度が速すぎるため、古いPCやエミュレータで実行する必要があります。

まとめ

QBasicは、構造化プログラミングをサポートし、即時コンパイルとデバッグ機能により開発効率を向上させた、当時の最先端IDEでした。MS-DOS環境を中心に広く利用され、多くのプログラマーに影響を与えた言語です。その歴史と特徴を理解することで、プログラミングの歴史の一端を垣間見ることができます。

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