R-3 (航空機)

R-3 練習機

R-3は、石川島飛行機が開発した日本の練習機で、その名称の「R」は「練習機」を意味しています。この機体は、過去のR-2を踏まえた進化系として設計され、独アルバトロス社のグスタフ・ラハマン博士の指導のもと、吉原四郎技師が主に設計を担当しました。1929年9月に完成した1号機を皮切りに、1931年までに合計5機が生産されました。

生産された5機の中には、陸軍に納入されたものが2機存在しましたが、エンジンの故障や機体の問題が多発したため、正式採用は実現しませんでした。これら2機は後に日本学生航空連盟に払い下げられ、また1機は海防義会が一時的に所有しました。残りの2機は、石川島の社有実験機となったり、朝日新聞社の通信機として使用されたりしました。

R-3は、何度かの長距離飛行に利用されました。特に1931年には、法政大学の栗村盛考と学連の熊川良太郎教官が搭乗した「青年日本号」がヨーロッパ訪問飛行を行い、羽田を出発したのは5月29日でした。このフライトでは、ハルビン、モスクワ、ベルリン、ブリュッセル、ロンドン、パリ、マルセイユを経由し、8月31日にローマに到着するという、合計13,971kmもの距離を飛行しました。また、1932年には早稲田大学と明治大学が東京と新京（現在の長春）間の親善飛行を行い、明大の機体は往復5,400kmのフライトに成功しました。

機体デザインは木と金属が組み合わされた複葉機形式で、エンジンは石川島がライセンスを取得して製造したシラス・ハーメスが搭載されています。特に4機の生産機は、英ハンドレページ社の自動スラット翼を試験的に装備しており、高い機動性を持っています。これにより、各種曲技飛行が可能となっていたのです。

また、「青年日本号」には、航続距離を延ばすための主翼内に燃料タンクを追加する改修が施されました。

諸元

• - 全長: 7.50 m
• - 全幅: 9.80 m
• - 全高: 2.98 m
• - 主翼面積: 24.5 m²
• - 自重: 455 kg（青年日本号は550 kg）
• - 全備重量: 680 kg（青年日本号は930 kg）
• - エンジン: 石川島/シラス ハーメスMk.II 空冷直列4気筒（離昇115 hp） × 1
• - 最大速度: 170 km/h（青年日本号は150 km/h）
• - 巡航速度: 140 km/h（青年日本号は120 km/h）
• - 実用上昇限度: 6,000 m（青年日本号は2,650 m）
• - 航続距離: 420 km（青年日本号は1,200 km）
• - 乗員: 2名

このように、R-3は日本の航空機産業における重要な一歩を示しており、当時の飛行機技術の進展を象徴する存在でした。

もう一度検索