RBS-15

RBS-15 対艦ミサイル

RBS-15（Robotsystem 15）は、スウェーデンのSAAB社が開発した対艦ミサイルです。スウェーデン海軍は、西側諸国で初めて艦対艦ミサイルを装備した海軍であり、その経験に基づいて開発されたRBS-15は、スウェーデンの防衛戦略において重要な役割を担っています。

開発経緯

スウェーデン海軍は、1967年のエイラート事件のわずか1ヶ月後にRB-08を配備し、対艦ミサイルの運用を開始しました。しかし、RB-08は先進的ではあったものの、戦術的な運用には改善の余地がありました。海軍はより本格的なRB-08Bの装備化を計画しましたが、サーブ 37 ビゲン戦闘機の開発が優先されたため、RB-08Bの開発は実現しませんでした。

1970年、海軍はノルウェーの設計に基づく哨戒艇の導入を決定しましたが、サーブは国産ミサイルの搭載を主張し、RB-11の開発に着手しました。しかし、海軍は射程の延伸を求め、空軍が国産の空対艦ミサイルであるRB-04を既に受領していたこともあり、開発は難航しました。

1976年、国防省は対艦ミサイルの海外からの購入を提案しましたが、国産ミサイルを志向する空軍や産業界からの反対を受けました。最終的に、政府はサーブ社と契約し、RB-04を基にしたミサイルの開発が進められることになりました。

開発の進展

サーブ・スカニアは、RB-04の推進装置をターボジェットエンジンに変更したRB-04ターボを経て、1977年にはRBS-15の開発に方針転換しました。1979年7月にはRBS-15が正式に採択され、サーブ・ボフォース・ミサイル・コーポレーション（SBMC）との間で開発契約が締結されました。1982年には航空発射型（RBS 15F）のオプションが行使され、翌年にはサーブ・ミサイル社が設立され、RBS-15の全契約交渉の責任を負うことになりました。

システムの開発は迅速に進み、1981年7月には実射試験が開始され、1982年にはノーショーピング級魚雷艇での艦上試験が開始されました。スウェーデン海軍での運用は1985年に開始され、1993年には地対艦ミサイル版の配備も開始されました。

その後も改良が進められ、Mk.2、Mk.3が開発され、現在では射程延伸と誘導装置の改良を図ったMk.IV（ガングニール）の開発が進められています。

設計

RBS-15は、RB-04E空対艦ミサイルをベースに設計されています。ミサイルの断面は円筒形で、機首は丸みを帯びています。前翼はデルタ翼、主翼は折りたたみ式のクロップドデルタ翼です。また、レーダー反射断面積（RCS）の低減も図られています。

誘導装置

誘導方式はアクティブ・レーダー・ホーミング（ARH）を採用しており、機首には9GR400 ARH誘導装置が搭載されています。中間航程では慣性誘導（INS）が行われ、データリンクによって目標情報を更新することもできます。Mk.3ミサイルではGPSも併用され、より柔軟な軌道決定や再攻撃機能、地上目標の攻撃機能が付与されました。Mk.4ミサイルではINS・GPSともに新型化され、飛翔中でも攻撃目標の変更が可能になる予定です。

弾頭部

弾頭には、FFV製の重量200 kgの爆風破片効果弾頭が搭載されています。

推進装置

推進装置としては、ミクロチュルボ製の単一スプールターボジェットエンジンであるTRI 60が搭載されています。艦対艦・地対艦ミサイル版では、ARC製の固体ロケットブースター2基も備えています。

システム構成

通常、「RBS-15」と称した場合は艦対艦ミサイル型を指しますが、RBS-15Mとして区別する場合もあります。地対艦ミサイル型はRBS-15K、空対艦ミサイル型はRBS-15Fと称されます。潜水艦発射型も構想されましたが、実現には至りませんでした。

発射筒としては、ボフォース社製の軽合金製コンテナが用いられています。Mk.3ミサイルでは、GECアルストホムが設計した新しいランチャー・コンテナーが用いられています。

運用者

RBS-15は、スウェーデン海軍をはじめ、複数の国で採用されています。

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