RCRI

改訂心臓リスク指数（RCRI）について

改訂心臓リスク指数（RCRI）は、周術期における心臓合併症のリスクを評価するための強力なツールであり、多くの外科手術を受ける患者に対しての予測を行うために使用されます。RCRIやその他の臨床的予測ツールは、様々な術前の要因（患者の年齢、手術の種類、併存疾患、血液検査の結果など）と心臓合併症との関連性を分析することにより、構築されています。

RCRIの開発と進化

RCRIの起源は1977年に遡ります。この年、Goldmanらが開発したOriginal Cardiac Risk Index（GCRI）が初めての心臓リスク指標となり、周術期における心臓合併症のリスクが上昇する要因を9つの変数に基づいて示しました。その後、1999年にはLeeらが2893人の患者を対象にして、改訂版であるRCRIを発表し、より広範なコホートにおける心臓合併症リスクの予測に成功しました。

Leeは、この研究を通じて心臓合併症のリスクを高める6つの独立した変数を特定しました。リスクの増加は、それらの変数の数に比例することが分かっており、RCRIはGCRIと比較して、より使いやすく、より正確な評価を提供します。

臨床での活用とガイドラインへの組み込み

RCRIは、臨床現場や研究で広く用いられ、2007年にはアメリカ心臓協会（AHA）と米国心臓病学会（ACC）による術前心臓リスク評価ガイドラインに組み込まれました。このガイドラインでは、5つのRCRI基準を用いたスクリーニングアルゴリズムが導入され、特定の手術に関連したリスクを考慮することが求められました。この際、糖尿病に関しても、インスリンを必要とする糖尿病患者だけでなく、全ての糖尿病患者が対象となるように変更されています。

2014年のガイドラインでは、米国外科学会による252の研究施設でのデータ収集を基に、新たに2つのリスク計算ツールが発表されました。これらのツールは、手術データが100万件以上集められたことを基に作成されており、心停止や心筋梗塞などの合併症リスクを評価するための修正オッズ比を提供します。

代替指標の登場

最近の研究では、RCRIに代わる新たな指標としてCardiac Comorbidity Risk（CCoR）が登場しました。2022年にOnishchenkoらによって発表されたCCoRは、人工股関節置換術や人工膝関節置換術後の主要有害心イベント（MACE）のリスクをより正確に評価できるという主張がなされています。CCoRは、心イベントのリスクを高める微細な併存疾患の徴候を別途チェックするため、RCRIで定義された危険因子に該当しない「低リスク」患者の評価においてもより確実性を持つとされています。

結論

改訂心臓リスク指数（RCRI）は、術前リスク評価における必須のツールであり、心臓合併症のリスクを低減させるための戦略において重要な役割を果たしています。臨床ガイドラインにおける活用や新たな代替指標の台頭により、将来的にも周術期管理においてますます重要な役割を担うことでしょう。

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