RD-118

RD-118型ロケットエンジン

RD-118は、ソビエト連邦およびロシア連邦で開発された液体燃料ロケットエンジンです。先行するRD-108型エンジンを改良したモデルとして設計され、主にソユーズ系列ロケットの重要な推進器として使用されました。推進剤には、液体酸素を酸化剤とし、燃料としてケロシンまたはSyntinが用いられます。エンジンは比較的構造が簡潔で実用的なガス発生器サイクルを採用しています。

このエンジンには、RD-118 (11D512) や RD-118P といった複数のバリエーションが存在します。RD-118 (11D512) はソユーズ-U (11A511U) ロケットに、RD-118P はソユーズ-U2 (11A511U2) ロケットにそれぞれ搭載されました。

設計と特徴

RD-118は、RD-108の設計思想を受け継ぎつつ、性能向上と信頼性強化が図られています。大きな特徴として、このエンジンは設計から製造に至る全ての部品がロシア国内製であることが挙げられます。これにより、安定した供給と技術的な独立性が確保されています。エンジンサイクルは、推進剤の一部を燃焼させてターボポンプを駆動するガス発生器サイクルを採用しており、これにより主要推進剤が効率的に燃焼室へ供給され、必要な推力を生み出します。この方式は、高い信頼性とコスト効率を実現する上で有効です。

運用履歴

RD-118型エンジンは、ソユーズロケットの歴史において重要な役割を果たしました。特にRD-118を搭載したソユーズ-Uロケットは、2001年以降、多数の打ち上げに使用されました。これらのミッションには、人工衛星の軌道投入や、国際宇宙ステーションへの人員・物資輸送などが含まれます。RD-118Pを搭載したソユーズ-U2も特定の改良ミッションで運用され、RD-118系列エンジンはロシアの宇宙開発プログラムを長年にわたり支え続けました。

主な仕様

RD-118型エンジンの主要な技術仕様は以下の通りです。バージョンによって推進剤や性能に違いがあります。

RD-118 (11D512)

推進剤に液体酸素とケロシンを使用する標準的なモデルです。
サイクル: ガス発生器サイクル
推力:
海面高度: 777.8 kN (約79.3トン)
真空中: 971.4 kN (約99.1トン)
比推力:
海面高度: 253秒
真空中: 316秒
燃焼圧力: 5.32 MPa (53.2 bar)
推進剤: 液体酸素 / ケロシン
直径: 1.95 m
全高: 2.865 m

RD-118P

推進剤に液体酸素とSyntinを使用し、性能が向上したモデルです。
サイクル: ガス発生器サイクル
推力:
海面高度: 814.9 kN (約83.1トン)
真空中: 1010.0 kN (約103.0トン)
比推力:
海面高度: 263秒
真空中: 326秒
推進剤: 液体酸素 / Syntin
直径: 1.95 m
* 全高: 2.865 m

RD-118PはSyntin推進剤の採用により、RD-118 (11D512) より高い推力と比推力を実現しています。物理的な寸法（直径、全高）は両モデルで共通です。これらのエンジンは、ソユーズロケットの信頼性と性能を支える基盤として、多数の宇宙ミッションに貢献しました。

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