RD-108

RD-108ロケットエンジン

RD-108（ロシア語名: РД-108）は、ロシアが開発した液体燃料ロケットエンジンです。ソユーズロケットファミリーの中核を成す第2段（中央コア）の推進を担っており、初期のR-7ロケットから現在に至るまで、その改良型が広く使用されています。ソユーズロケットの第1段（周囲の4本のブースター）には、RD-108と同時期に開発されたRD-107エンジンが使用されており、両者は兄弟のような関係にあります。

RD-107とRD-108は基本的に共通の設計を持っていますが、最も顕著な違いは、機体の姿勢制御を行うためのバーニアスラスタの数です。RD-107が2基のバーニアスラスタを備えているのに対し、RD-108は4基を装備しています。この違いにより、RD-108は第2段として飛行中の姿勢をより精密に制御する役割を担っています。

開発と製造

RD-108エンジンは、ソビエト連邦の著名なロケットエンジン設計者であるヴァレンティン・グルシュコが率いるOKB-456設計局（現在のNPOエネゴマシュ）によって設計されました。開発は1954年から1957年にかけて、RD-107と並行して行われました。推進剤には、液体酸素とケロシンが使用されています。エンジンの基本的な構成は、4つの燃焼室と、これらに推進剤を供給する単一のターボポンプから成ります。

開発から長い年月が経過した現在でも、RD-107とRD-108エンジンは、NPOエネゴマシュの監督の下、ロシアのサマーラにある工場で製造が続けられています。これは、エンジンの設計が非常に堅牢で信頼性が高く、長年にわたり改良を重ねながら運用されてきた証と言えるでしょう。

主な派生型

RD-108エンジンは、その長い歴史の中でいくつかの改良型が開発されています。

8D75 (基本型)
8D727 (RD-108MM)
11D512 (RD-118)
14D21 (RD-108A)

特に、RD-108A (14D21) エンジンは、1986年に開発が開始された改良型です。この型式では、新しいインジェクターヘッドの設計が導入されたことにより、エンジンの性能、特に比推力が向上しています。RD-108Aは、2001年5月にプログレスM1-6補給船の打ち上げに使用されたソユーズ-FGロケットに初めて搭載されました。その後、2002年10月からは、国際宇宙ステーションへ向かう有人宇宙船であるソユーズ宇宙船の打ち上げにも使用されるようになり、現在に至るまで多くのミッションを支えています。

仕様比較

RD-108の基本型と改良型であるRD-108Aの主要な性能諸元は以下の通りです。


これらの仕様からもわかるように、RD-108Aは基本型から推力および比推力が向上しており、より効率的な打ち上げ能力を提供しています。

RD-108エンジンは、RD-107と共に、ソユーズロケットが世界の宇宙輸送を支える基幹ロケットであり続ける上で、不可欠な要素となっています。

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