RG-31

RG-31 装輪装甲車

RG-31は、南アフリカ共和国のランドシステムズOMC（現BAEシステムズ・ランド・システムズ・サウス・アフリカ）が、マンバ装甲兵員輸送車をベースに開発した4×4輪駆動の装輪装甲車です。アメリカ海兵隊のMRAP（耐地雷・伏撃防護車両）カテゴリーIの車両として採用され、その高い地雷防御能力から、兵員輸送の安全を確保する上で重要な役割を果たしています。

概要

RG-31の最大の特徴は、V字型に設計された車体です。この形状により、地雷や即席爆発装置（IED）による爆発のエネルギーを分散させ、乗員への被害を最小限に抑えることができます。イラク戦争やアフガニスタン紛争などの危険地域に派遣された部隊を持つスペイン軍やカナダ軍でも採用され、国際連合平和維持活動（PKO）においてもUNIFILなどの任務で運用されています。

乗員は通常8名から10名で、後部の大型ドアから乗降します。車体上部には、旋回式の銃塔や遠隔操作式のRWS（Remote Weapon Station）を搭載することが可能です。BAEシステムズは、RG-31をさらに発展させた大型のRG-33も開発・製造しており、こちらもアメリカ陸軍や海兵隊で運用されています。

RG-31は、南アフリカに生息するウシ科の動物「ニアラ」にちなんだニックネームで呼ばれる他、アメリカ軍では「チャージャー」という愛称も使用されています。

バリエーション

RG-31には、様々なバリエーションが存在します。

RG-31 Mk.3: マンバ装甲兵員輸送車をベースに開発された最初の量産型です。
RG-31 Mk.5: Mk.3の改良型です。
RG-31 Mk.5E: Mk.5の車体を延長し、兵員室を拡大したバージョンです。
RG-31 MK.6: 乗員防護能力を強化した改良型です。
RG-31 チャージャー: アメリカ陸軍で使用されている車両で、Mk.3にデトロイトディーゼル製エンジンを搭載したバージョンと、Mk.5にカミンズ製ディーゼルエンジンを搭載したバージョンがあります。
RG-31 セイバー: 貨物輸送用のカーゴトラック型です。

採用国

RG-31は、以下の国や組織で採用されています。

カナダ：M151 プロテクターRWSを搭載したMk.3を運用
コロンビア
エスワティニ：Mk.5Eを採用
インドネシア
イラク
マリ
ナイジェリア
カタール
南アフリカ共和国
スペイン：イスラエル製のサムソンRCWSを搭載したMk.5Eを運用
ルワンダ
アラブ首長国連邦：MK.5を採用
国際連合：UNIFILなどで運用
アメリカ合衆国：アメリカ特殊作戦軍、アメリカ陸軍、アメリカ海兵隊
* ウクライナ：スペイン陸軍から救急搬送型が供与

まとめ

RG-31は、その高い防御力と多様なバリエーションにより、世界各国の軍隊や国際組織で幅広く採用されている装輪装甲車です。地雷やIEDの脅威から兵員を守り、安全な兵員輸送を実現する上で、重要な役割を果たしています。

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