RT-23 (ミサイル)

RT-23 Molodets (SS-24 Scalpel)

RT-23 Molodets（ロシア語: РТ-23、DoD識別番号: SS-24、NATOコードネーム: Scalpel）は、かつてソビエト連邦で開発・運用されていた大陸間弾道ミサイル（ICBM）です。Scalpel（スカルペル）というNATOコードネームは「外科用メス」を意味します。

概要

RT-23には、サイロ発射型と鉄道移動型の2種類が存在しました。サイロ発射型は、UR-100N（SS-19 Stilleto）の後継として開発されました。一方、鉄道移動型は、専用の列車に搭載して鉄道網を移動することで、敵の先制攻撃から逃れ、報復反撃能力を維持することを目的としていました。

鉄道移動型は、ディーゼル機関車に牽引される運搬・発射装置、発射管制室、運用要員の居住空間、超長距離無線設備、電源設備などを備えた列車編成で構成されていました。その移動能力から「地上の弾道ミサイル潜水艦」とも呼ばれました。

ミサイル本体は3段式で、全段に固体燃料ロケットを採用し、コールドローンチ方式で発射されます。弾頭部はMIRV（Multiple Independently Targetable Reentry Vehicle：多目標個別誘導再突入体）であり、3段目の上部には550kt（キロトン）の核弾頭を10個搭載していました。射程距離は約10,000kmに達しました。

冷戦時代には、アメリカ国防総省が作成した想像図などで、濃緑色に赤い星を塗装した長大な編成の列車が、シベリア鉄道での作戦を想定したと思われる冬季の針葉樹林を背景に、ランチャーを直立させた姿で描かれていました。

RT-23は1987年から配備・運用が開始されましたが、モスクワ条約（第二次戦略兵器削減条約）に基づき、2005年までに全廃が完了しました。

運用国

ソビエト連邦
ロシア（モスクワ条約に基づき全廃済）
ウクライナ
ソ連崩壊に伴い一部を継承しましたが、1991年のウクライナ国防法の非核化方針に従い、全廃されました。

発射基地跡の公開

2000年までウクライナのキロボフラード州で運用されていた発射サイトを含む基地跡は、戦略ミサイル部隊博物館として公開されています。

関連項目

弾道ミサイル
大陸間弾道ミサイル
DF-31 (ミサイル)
DF-41 (ミサイル)
ピースキーパー (ミサイル)|ピースキーパー_(ミサイル)
TEL（Transporter Erector Launcher：輸送起立発射機）

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