Rance III -リーザス陥落-

『Rance III -リーザス陥落-』

『Rance III -リーザス陥落-』は、アリスソフトが1991年11月15日に発売したアダルトゲームです。Ranceシリーズの第3作にあたり、2015年8月28日にはリメイク版である『ランス03 リーザス陥落』が発売されました。本稿では、オリジナル版とリメイク版の両方について解説します。

リリース

オリジナル版はPC-9801VM、X68000、FM TOWNSの3つのプラットフォーム向けにリリースされました。PC-9801VMとX68000版はフロッピーディスクで、FM TOWNS版はCD-ROMで提供されました。1997年には、Windows向けに移植され、『ALICEの館4・5・6』に収録されています。リメイク版はオリジナル版から24年後の2015年に発売され、シリーズで初めて声優が起用されました。

あらすじ

ヘルマン国が魔人と手を組んだことにより、リーザス城が陥落します。リーザス王女リアは、主人公ランスに救助を要請しました。事態を打開するため、王家の聖武具を揃え魔剣カオスを復活させる必要がありましたが、ランスは既にそのうちの2つを換金していました。ランスは買い戻しの資金を得るためギルドに向かい、そこで少女ローラをモンスターから救出する依頼を受けます。冒険者のラークとノアを助けたランス一行は、ローラがモンスターと両想いだったという事実に直面します。任務後、ローラによって聖武具は武器屋から消えていました。

その後、ランスはリーザス解放軍を率いるマリアと出会い、リーザス側の人間を救出しました。しかし、ランスの使用人であるシィルが魔人サテラによって誘拐されてしまいます。シィルの解放のため、ランスは聖武具を集め魔人を倒し、リーザスを奪還することを目指します。

一方、ヘルマン軍のパットンは、リーザス正規軍よりも自由都市群への進軍を優先していました。ランス率いるリーザス解放軍は、自由都市群でヘルマン軍を撃破し、勢力を拡大しました。リーザス城を包囲しますが、パットンの援軍要請は宰相によって握りつぶされていました。最終的にリーザスが勝利し、ヘルマンではパットンが戦いの責任を負わされ死亡扱いとなりました。その1ヶ月後、皇帝が亡くなり、パットンの妹シーラが新たな皇帝に即位しました。

システム

オリジナル版は、タクティカルコンバット方式のRPGです。プレイヤーはランスのみを操作し、他の仲間はCPUが制御します。ゲーム中にはおまけのCGイラストを閲覧できる要素や、敵を倒すことで性的なイラストが閲覧できるシステムが搭載されていました。

リメイク版は、RPGとADVを組み合わせたシステムで、マップ上でダンジョンに移動し攻略を進めます。ダンジョン内ではカードを選択する形式で進行し、戦闘ではキャラクターのスキルを組み合わせて敵を倒します。リメイク版では、ダンジョンに散らばる鏡の破片を集めることで、ゲストイラストレーターによるCGを完成させることができます。

登場人物

ランス一行、およびリーザス王国関係者

ランス：本作の主人公。キースギルド所属の冒険者。声 - (リメイク版) なし
シィル・プライン：ランスの使用人である魔法使い。声 - 高橋さや
見当 かなみ：リーザス王国の王女リアの部下であるくノ一。声 - 真中海
魔想 志津香：魔法使いで、ランスを嫌っている。声 - 橘まお
マリア・カスタード：リーザス解放軍の司令官。声 - 鶴屋春人
ミリ・ヨークス：戦士兼薬屋。両性愛者。声 - 七ヶ瀬輪
セル・カーチゴルフ：AL教の神官。声 - 小倉結衣
レイラ・グレクニー：リーザス王国親衛隊の隊長。声 - 早乙女綾
リック・アディスン：「赤い死神」の異名を持つリーザス王国の将軍。声 - やじまのぼる
リア・パラパラ・リーザス：リーザス王国の皇女。声 - 萌花ちょこ

ヘルマン共和国

パットン・ヘルマン：ヘルマン共和国の皇子。声 - 胸肩腎
ハンティ・カラー：パットンの相棒。声 - (リメイク版) なし
トーマ・リプトン：ヘルマン軍の将軍。声 - 荒木幸男
ミネバ・マーガレット：ヘルマン軍の女隊長。声 - 草むらケイ
フレッチャー・モーデル：ヘルマン軍の大隊長。声 - Lee
ヘンダーソン・ドーントレス：ヘルマン軍の大隊長。声 - 風見健
セピア・ランドスター：ヘルマン軍の隊長。声 - 奥川久美子

魔人

ノス：ヘルマンと手を組んだ魔人。声 - 乙参
アイゼル：洗脳能力に長けた魔人。声 - 古河徹人
サファイア：アイゼルの使徒。声 - 桜城ちか
ガーネット：アイゼルの使徒。声 - 白月かなめ
トパーズ：アイゼルの使徒。声 - 金松由花
サテラ：ガーディアン作成能力を持つ魔人。声 - (リメイク版) なし
シーザー：サテラの部下であるガーディアン。声 - 野☆球
イシス：サテラの部下であるガーディアン。声 - 牛蛙キタロウ
ジル：魔王。声 - (リメイク版) なし

その他

キース・ゴールド：キースギルドのギルドマスター。声 - 雨戸武治
ハイニ・バッハ：キースの秘書。声 - 藤森ゆき奈
ネカイ・シス：キースギルドの冒険者。声 - 御苑生メイ
ロゼ・カド：AL教の神官。声 - 青葉りんご
フェリス：悪魔回廊の門番。声 - 姫川あいり
スー：森に住む少女。声 - 榊原ゆい
セティナ・ファーボ：レストランのウェイトレス。声 - 手塚りょうこ
ローラ・インダス：アイスのお嬢様。声 - 桃井穂美
ウーくん：リスのモンスター。声 - (リメイク版) なし
ラーク・パイクスピーク：キースギルドの冒険者。声 - 佐和真中
ノア・セーリング：ラークの相棒。声 - 北坂利亜
ラチェット・ランチョン：武器屋の主人。声 - (リメイク版) なし
レンチ・ランチョン：ラチェットの娘。声 - (リメイク版) なし
ウィリス：レベルアップ神。声 - (リメイク版) なし
コリン・コッコリン：アイテム屋の店主。声 - (リメイク版) なし

開発

オリジナル版のシステムは『闘神都市』を拡張したものが採用され、シリーズで初めてマップ移動が導入されました。開発にあたり、『ファイアーエムブレム』と類似しないように注意されました。世界観は前作から構想されており、TADAとぷりんによって構築されました。

リメイク版は『ランス01』と同じスタッフが担当し、キャラクターの人物像やイベントの強化が行われました。TADAはリメイク版の内容を高く評価しています。また、シリーズ初のフルボイス作品となりました。一部キャラクターのデザインも変更されています。

反響・批評

オリジナル版は、アリスソフトの過去作を超える人気を博し、アダルトゲームに馴染みのない層にも受け入れられました。IGNの福山幸司は、本作からシリーズが深い世界観を持つ大河作品に変化したと評価し、前田尋之は、本作を起点として世界観が拡大したと指摘しました。はまぐちしんたろうは、シナリオとグラフィックを称賛し、シリーズ展開を決定付けた秀作と評しました。

リメイク版は、IGNの歐陽宇亮が世界観を評価し、Getchu.comの月間ゲームセールスランキングで上位にランクインするなど、高い評価を受けています。しかし、フルボイス化に対しては否定的な意見も寄せられました。

脚注

[参考文献]

はまぐちしんたろう「ランス3 リーザス陥落」『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』ぶんか社、2000年10月10日、92頁。ISBN 4-8211-0717-1。
前田尋之「Rance III -リーザス陥落-」『ぼくたちの美少女ゲーム クロニクル』オークス、2016年8月8日、73頁。ISBN 978-4-7990-0809-6。
「アリスの館4・5・6」『電脳美少女虎の巻』大洋図書、1998年5月15日、47 - 56頁。ISBN 4-88672-577-5。
「アリスソフト」『美少女ゲームマニアックス3』キルタイムコミュニケーション、2002年10月10日、70頁。ISBN 4-86032-031-X。

[雑誌記事]

「アリスの館4・5・6」『TECH GIAN』1997年12月号、アスペクト、1997年12月1日、28 - 29頁。
『PC ANGEL シリーズ研究総集編 美少女ゲーム傑作選』PC ANGEL 10月号増刊、オデッセウス、1994年10月31日。
「Rance II 反逆の少女たち」、104 - 105頁。
「Rance III リーザス陥落」、106 - 109頁。

[外部リンク]

ランス03 リーザス陥落 公式サイト
ロットアップ（生産終了）ソフトカタログ - ウェイバックマシン（2009年4月18日アーカイブ分）
アリスソフト アーカイブズ
* Rance III -リーザス陥落-（オリジナル版）（英語） - MobyGames

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