Red Hat Linux

Red Hat Linuxとは

Red Hat Linuxは、かつてRed Hat社によって開発されていたLinuxディストリビューションです。現在のRed Hat Enterprise Linux (RHEL) の前身であり、初期のFedoraのベースとなったバージョンです。1995年に最初のバージョンがリリースされ、当初は "Red Hat Commercial Linux" と呼ばれていました。

Red Hat Enterprise Linuxとの違い

現行のRed Hat Enterprise Linuxは企業向けの有料版ですが、Red Hat Linuxの時代には、サポートが限定された無償配布も存在していました。この点が大きな違いと言えます。

歴史

Red Hat Linuxは1995年に最初のバージョンがリリースされました。当初は "Red Hat Commercial Linux" という名称でした。パッケージ管理システムであるRPM Package Managerの「R」は、Red Hatの「R」に由来しており、このディストリビューションで開発されました。

2003年11月、レッドハット社は方針転換を発表し、Red Hat Linuxの開発を終了し、企業向けのRed Hat Enterprise Linux（RHEL）をリリースしました。無料版の提供は、レッドハットが支援するコミュニティであるFedora Projectが提供するFedoraに引き継がれました。

サポートと更新パッケージの提供

Red Hat Linuxはバージョン9まで存在し、レッドハットによる公式サポートは2004年4月まででした。その後、Fedora ProjectのFedora Legacyプロジェクトがサポートを引き継ぎましたが、このプロジェクトも2007年2月9日に解散し、サポートは終了しました。現在では、過去のRed Hat Linuxを業務で使用している企業向けに、サポートサービスを提供する会社も存在します。

バージョン履歴

Red Hat Linuxは、以下の様なバージョンが存在しました。

1.0 (Mother's Day), 1994年11月3日 (Linux 1.2.8)
1.1 (Mother's Day+0.1), 1995年8月1日 (Linux 1.2.11)
2.0, 1995年9月20日 (Linux 1.2.13-2)
2.1, 1995年11月23日 (Linux 1.2.13)
3.0.3 (Picasso), 1996年5月1日 - DEC Alphaを初めてサポート
4.0 (Colgate), 1996年10月3日 (Linux 2.0.18) - SPARCを初めてサポート
4.1 (Vanderbilt), 1997年2月3日 (Linux 2.0.27)
4.2 (Biltmore), 1997年5月19日 (Linux 2.0.30-2)
5.0 (Hurricane), 1997年12月1日 (Linux 2.0.32-2)
5.1 (Manhattan), 1998年5月22日 (Linux 2.0.34-0.6)
5.2 (Apollo), 1998年11月2日 (Linux 2.0.36-0.7)
6.0 (Hedwig), 1999年4月26日 (Linux 2.2.5-15)
6.1 (Cartman), 1999年10月4日 (Linux 2.2.12-20)
6.2 (Zoot), 2000年4月3日 (Linux 2.2.14-5.0)
7 (Guinness), 2000年9月25日 (バージョン番号は"7"でなく"7.0") (Linux 2.2.16-22)
7J改訂版, 2000年11月13日 - 7Jのバグフィックス版
7.1 (Seawolf), 2001年4月16日 (Linux 2.4.2-2)
7.2 (Enigma), 2001年10月22日 (Linux 2.4.7-10, Linux 2.4.9-21smp)
7.3 (Valhalla), 2002年5月6日 (Linux 2.4.18-3)
8.0 (Psyche), 2002年9月30日 (Linux 2.4.18-14)
9 (Shrike), 2003年3月31日 (Linux 2.4.20-8) (バージョン番号は"9"でなく"9.0")

派生版

Red Hat Linuxは多くの派生版を生み出しました。以下に主な派生版を示します。

CentOS/RHEL派生

これらの派生版は、Red Hat Enterprise Linux（RHEL）をベースにしており、パッケージ管理などがRHELと同様の仕組みを使用しています。

Fedora派生

Red Hat Linuxの後継であるFedoraをベースとした派生版です。

urpmi系

urpmi（Rpmdrake）を使用する派生版です。

apt-rpm系

Apt-rpmを使用する派生版です。

その他のRPM系

上記以外のRPMベースの派生版です。

その他の派生版

開発が停止しているものも多く存在します。

Haansoft Linux: Asianux派生
Lycoris Desktop/LX: Windowsに似たユーザーインターフェースを持つ
Red Star OS: 北朝鮮の国策配布版
LinuxPPC: PowerPC環境向け

日本発の派生版

こちらも開発が停止しているものが多くあります。

HOLON Linux: インターチャネル・ホロン社製
Kondara MNU/Linux: 開発者の一部がMomonga Linuxを立ち上げ
Momonga Linux: Kondara MNU/Linuxの後継
PS2 Linux: PlayStation 2上で動作する、Kondara MNU/Linux派生
LASER5 Linux: 商用・個人向け(7.2exp以降開発停止、現在保守終了)

脚注

Red Hat Linuxは、Linuxディストリビューションの歴史において重要な役割を果たしただけでなく、RPM Package Managerや後のFedora、RHELなど多くの技術やディストリビューションに影響を与えました。その遺産は、現在のLinux環境にも息づいています。

外部リンク

Red Hat（レッドハット米国本社）
レッドハット株式会社

関連項目

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