Red Star OS

Red Star OS（붉은별）は、北朝鮮の朝鮮コンピューターセンターによって開発されたLinuxディストリビューションです。Fedoraをベースとしており、北朝鮮の国家プロジェクトとして開発が進められました。

概要

2006年に、朝鮮新報の報道によりOS開発が進められていることが明らかになりました。2010年頃には、ロシア人留学生がバージョン2.0のメディアをインターネット上に流出させ、その存在が広く知られることとなりました。

バージョン2.0は、CD-ROM2枚組で構成されています。1枚目にはインストーラとコアパッケージが、2枚目には追加アプリケーションが収録されており、パッケージ管理にはRPM形式が採用されています。インストーラは朝鮮語のみで提供され、Windowsとのデュアルブートがサポートされています。このバージョンは、WindowsのUIを模倣しており、付属アプリケーションもWindows標準のものに似せて作られています。カレンダーには、北朝鮮独自の主体年号が用いられており、起動音には「アリラン」が採用されています。

インストール手順書は15ページで、「設置指導書」と題されています。冒頭には、「偉大なる指導者 金正日 同志は次の通り指導されました。《プログラムを開発する上での基本は、我が国独自のOSを開発することである。》」という記述があり、OS開発の重要性が強調されています。

2013年にリリースされたバージョン3.0では、デスクトップがMac OS X風に大幅に刷新されました。これは、ユーザーインターフェースを近代化し、より使いやすくするための変更でした。

韓国の科学技術政策研究院（STEPI）による分析では、Red Star 2.0はLinuxをベースにしているものの、マイクロソフトの古いオペレーティングシステムの影響を強く受けており、機能面では10年程度時代遅れであると評価されました。これは、技術的な遅れを示すものであり、OSの発展には課題が残るとされています。

Red Star OSには、北朝鮮独自の検索エンジンを搭載したFirefoxベースのブラウザが組み込まれています。このブラウザは、北朝鮮国内のイントラネットでのみ閲覧が可能であり、国外からのアクセスは制限されています。パッケージのアップデートも、北朝鮮国内のサーバーに接続する必要があり、国外のyumリポジトリサーバーを利用することはできません。

必要環境

バージョン2.0の動作には以下の環境が必要です。

CPU: Pentium III 800MHz
メモリ: 256MB
HDD: 3GB

これらのスペックは、当時の一般的なPCと比較して低く、Red Star OSが古いハードウェアでも動作するように設計されていることを示しています。

総括

Red Star OSは、北朝鮮の独自の技術と文化を反映したオペレーティングシステムです。しかし、技術的な面では、国際的な標準と比較して遅れている部分も存在します。主に、国内での利用に限定されており、その情報も限られているため、詳細な調査や評価が難しい状況です。

関連事項

Linux: Red Star OSの基盤となっているオペレーティングシステム。
光明 (ネットワーク): 北朝鮮の国内イントラネット。
ネナラ (ブラウザ): Red Star OSに搭載されているWebブラウザ。

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