ジョークRFC

ジョークRFCとは

ジョークRFC（Joke RFC）とは、インターネット技術の標準化を行うIETF（Internet Engineering Task Force）が、主に4月1日に発行するユーモラスなRFC（Request for Comments）のことです。エイプリルフールRFC（April Fools' Day RFC）や、4月1日のRFC（April 1 RFC）とも呼ばれます。

RFCは、インターネットで利用される通信プロトコルやファイルフォーマットなどの技術仕様を定める文書であり、通常は真面目な技術情報が記述されています。しかし、ジョークRFCは、その厳格な形式を踏襲しつつ、技術的な内容をパロディ化したり、奇抜なアイデアを提案したりすることで、読者を笑わせることを目的としています。

ジョークRFCの歴史

1989年以降、IETFはほぼ毎年エイプリルフールにジョークRFCを発行しています。ただし、初期にはエイプリルフール以外の日付に発行されたものも存在します。これらのジョークRFCは、技術コミュニティに親しみやすさをもたらし、堅苦しいイメージのある技術標準化の世界に、ユーモアと遊び心を加えています。

ジョークRFCの例

以下に、過去に発行されたジョークRFCの例をいくつか紹介します。

初期のジョークRFC

RFC 439 (1973年1月21日): 統合失調症シミュレータのPARRYと精神科医チャットボットELIZAの会話記録。
RFC 527 (1973年6月22日): ルイス・キャロルの詩「ジャバウォック」のパロディ。
RFC 748 (1978年4月1日): 初めてエイプリルフールに発行されたジョークRFC。TELNETオプションを定義する。
IEN 137 (1980年4月1日): ジョナサン・スウィフトの「ガリヴァー旅行記」に出てくる用語をバイトオーダーに適用。
RFC 968 (1985年12月): 新しいネットワーク運用時の問題を詩的に解説。

1990年代のジョークRFC

RFC 1149 (1990年4月1日): 伝書鳩によるIPパケット伝送プロトコル。
RFC 1313 (1992年4月1日): インターネットラジオの番組表。
RFC 1605 (1994年4月1日): ソネットによるSONET効率化。
RFC 1776 (1995年4月1日): 「アドレスはメッセージ」というコンセプト。
RFC 1924 (1996年4月1日): IPv6アドレスのコンパクトな表現。
RFC 2324 (1998年4月1日): HTTPを拡張したコーヒーポット制御プロトコル（HTCPCP）。

2000年代以降のジョークRFC

RFC 2549 (1999年4月1日): 伝書鳩によるIPパケット伝送プロトコルのQoS対応。
RFC 2795 (2000年4月1日): 無限の猿定理の実用プロトコル。
RFC 3251 (2002年4月1日): IPによる電力供給。
RFC 3514 (2003年4月1日): IPv4ヘッダーに「evil bit」を追加。
RFC 4824 (2007年4月1日): 手旗信号によるIP通信。
RFC 5514 (2009年4月1日): SNS上でのIPv6伝送。
RFC 6214 (2011年4月1日): 伝書鳩IPプロトコルのIPv6対応。
RFC 6921 (2013年4月1日): 超光速通信の考慮事項。
RFC 7168 (2014年4月1日): HTCPCPの拡張版。お茶も制御。
RFC 8771 (2020年4月1日): 国際化された意図的に読めないネットワーク表記(I-DUNNO).
RFC 9401 (2023年4月1日): TCPに死亡フラグを追加。
RFC 9402 (2023年4月1日): 猫と段ボール間のやり取りの記法。
RFC 9405 (2023年4月1日): AI皮肉検出プロトコル。
* RFC 9564 (2024年4月1日): 超光速プロトコル(FLIP).

ジョークRFCの提出

RFCエディターは、4月1日の2週間前までに提出された適切にフォーマットされたジョークRFCを受け付けています。これらのジョークRFCは、技術文書としての形式を保ちつつ、ユーモアと創造性に溢れた内容で、技術コミュニティに楽しまれています。

まとめ

ジョークRFCは、RFCという技術文書の形式を借りて、技術コミュニティにユーモアと親しみやすさを提供する試みです。技術的な知識を持つ人々が、遊び心と創造性を発揮して作り上げたこれらの文書は、技術標準化の世界に新たな一面を加えています。RFCを読む際には、これらのジョークRFCにも目を向けてみると、より一層楽しめるかもしれません。

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