Ripple (支払いシステム)

リップル（Ripple）とは

リップル（Ripple）は、リップル社が開発した、分散型台帳技術（DLT）を用いた即時グロス決済システムであり、主に外国為替や送金ネットワークとして機能します。このシステムは、コンセンサス・レジャーとXRPというネイティブトークンを利用し、オープンソースのインターネットプロトコルとして、リップル・トランザクション・プロトコル（RTXP）またはリップル・プロトコルとも呼ばれます。

リップルの歴史

リップルの開発は、2004年にカナダのウェブ開発者であるライアン・フッガー氏によって開始されました。その後、ビットコインの技術を応用し、アーサー・ブリット氏やデビッド・シュワルツ氏らによってコンセンサス・レジャーが統合されました。プロジェクトの指揮権は、ライアン・フッガー氏からリップル社（旧OpenCoin Inc.）に移譲され、リップル・トランザクション・プロトコル（RTXP）としての開発が継続されています。

リップルは、ビットコインと同様に分散型台帳技術を採用していますが、二重支払いの検知には、ビットコインのようなプルーフ・オブ・ワークシステムではなく、独自に開発されたコンセンサスシステムを用いています。これにより、ビットコインの課題であったスケーラビリティや電力消費を改善し、ビットコインでは平均10分程度かかる決済を数秒で完了できるという利点があります。

また、リップル社は、World Wide Web Consortium（W3C）によって標準化が進められているインターレジャープロトコル（ILP）の開発も手掛けており、将来的にはリップルに統合される予定です。インターレジャープロトコルはリップル社から発表され、リファレンス実装は2015年11月に同社から公開されました。

法的状況

2020年12月、米国証券取引委員会（SEC）は、リップル社がXRPの販売を通じて証券法に違反したとして、同社とその幹部2名を提訴しました。しかし、2023年7月には連邦地方裁判所が、デジタル通貨としてのXRP自体は投資契約の要件を満たさないとの判決を下しました。この判決は、暗号資産の法的地位に関する議論において重要な転換点となりました。

リップルの利用状況

リップル社が運営するクロスボーダー決済ネットワークは、年間取引高が100億ドルを超えており、ネットワーク立ち上げから2022年第4四半期までの取引のうち、約60％がXRPを利用して行われています。

リップルの評価

リップルプロトコルは、その登場以来、金融業界や大衆メディアから注目を集めています。ニールセン社、イングランド銀行季報、NACHA、KPMGなど、様々な業界誌で取り上げられ、国際的な銀行業務に与える影響に関する調査も行われています。

セキュリティに関しては、2015年4月にAmerican Banker誌が、「銀行の観点からは、リップルのような分散型台帳システムは、ビットコインのような暗号通貨と比較して多くの利点がある」と主張しました。また、ボストン連邦準備銀行は、「リップルのような分散型ネットワークの導入により、銀行業界はより迅速な処理を実現し、グローバル決済やコルレス銀行サービスの効率性を向上させることができる」と述べています。

2013年には、ケン・カーソン氏がEsquire誌で、「大手金融サービスブランドは、レコード会社がかつてナップスターを扱ったように、リップルを扱うべきだ」と述べ、その影響力を評価しています。

リップルは、2015年8月に世界経済フォーラムからテクノロジーパイオニア賞を受賞しました。また、ニューヨークタイムズのウェブサイト「Dealbook」は、2013年に「リップルは、仮想通貨が通常達成できないこと、すなわち金融システムの主要プレーヤーの関与を獲得している」と評しました。

近年の動向

2023年1月11日、リップル社のガーリングハウスCEOは、ロイター通信に対し、初期投資家や従業員から約2億8500万ドル相当の自社株を買い戻すと発表しました。これにより、リップル社の企業価値は113億ドルと評価されています。

結論

リップルは、分散型台帳技術を活用した革新的な決済システムであり、その技術は、金融業界に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。法的課題や市場変動にも直面していますが、その潜在的な価値は依然として高く評価されています。

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