Office Open XML
Office Open XML（OOXML、OpenXML）は、Microsoftが開発し、ECMA（欧州コンピュータメーカ協会）とISO/IEC JTC1（国際[[標準化機構]]/国際電気標準会議の合同技術委員会）によって標準化された、オフィススイート用のファイルフォーマットです。このフォーマットは、ZIP形式で圧縮されたXMLをベースとしており、文書、表計算、プレゼンテーションなどのデータを構造的に保存できます。
2006年12月にECMAによってECMA-376として標準化された後、2008年4月にはISO/IEC JTC1の副委員会SC 34において、ISO/IEC 29500として国際標準規格となりました。この標準化の過程で、競合する国際規格として「ISO/IEC 26300: OpenDocument Format (ODF)」が存在しました。Microsoft Office 2010は、ECMA-376の読み込みをサポートし、ISO/IEC 29500 Transitionalの完全なサポート、ISO/IEC 29500 Strictの読み込みをサポートしました。Microsoft Office 2013以降では、ISO/IEC 29500 Strictも完全にサポートしていますが、後方互換性の問題からデフォルトのファイル形式としては使用されていません。
Microsoft Officeは、以前は独自のバイナリ形式を使用していましたが、Office 2007（バージョン12）からXMLベースのOffice Open XMLを標準ファイル形式として採用しました。この形式は、XMLで記述された文書データと画像などのバイナリデータを、オープン・パッケージング・コンベンションズによって1つのファイルにまとめた構造を持っています。このオープン・パッケージング・コンベンションズにはZIPが使用されています。従来の.doc、.xls、.ppt形式とのバイナリ互換性はありません。また、マクロを含む文書の拡張子は、.docm、.xlsm、.pptmとなります。
OpenXMLを標準フォーマットとして採用することには、以下のようなメリットがあります。
Microsoft Officeがインストールされていない環境でもファイルの読み書きが可能になる。
文書のパーツの再利用が容易になる。
パーツに分割することで、ファイル破損のリスクを限定できる。
ZIP圧縮されることで、ファイルサイズが小さくなる。
Office 2003以前でもXML形式（拡張子.xml）での保存は可能でしたが、Office Open XMLとは仕様が異なります。
Office Open XMLファイルは、複数のXMLファイルと関連するメディアファイルで構成されており、これらがZIP圧縮されて1つのパッケージとして扱われます。例えば、Wordの.docxファイルをZIP展開すると、以下のパーツで構成されていることがわかります。
`document.xml`: テキストコンテンツ
`fontTable.xml`: フォント表
`settings.xml`: 設定情報
`styles.xml`: テキストのスタイル情報
`webSettings.xml`: ウェブ用のスタイル情報
`media`: 画像などのメディアファイルを格納するフォルダ
`_rels`: 各パーツの関連性を記述するファイルを格納するフォルダ
これらのXMLファイルやフォルダの配置は、Open Packaging Conventionsで定められています。データは、以下のような専用のマークアップ言語を使用して表現されます。
PresentationML: PowerPointなどのプレゼンテーションデータ用。
SpreadsheetML (SML): Excelなどの表計算データ用。ワークブック下に複数のワークシートが連なる形式。
WordprocessingML (WML): Wordなどの文書データ用。本文、脚注、スタイルなどのパーツで構成。
DrawingML: 図形や画像などのデータ用。
Office MathML (OMML): 数式データ用。
ISO/IEC 29500は、以下の4つのパートで構成され、それぞれが独立した規格です。
Part 1 (Fundamentals and Markup Language Reference): マークアップ言語に関する基本と詳細な参照。
Part 2 (Open Packaging Conventions): ファイルの構造に関する仕様。
Part 3 (Markup Compatibility and Extensibility): 互換性と拡張性に関する仕様。
Part 4 (Transitional Migration Features): 旧バージョンとの互換性に関する機能。
ISO/IEC 29500の仕様書は、オンラインで一部閲覧可能な部分と、購入が必要な完全版があります。2016年版は電子版でのダウンロードが可能です。
Office Open XMLには、仕様の厳密さを重視した「Strict」と、過去との互換性を重視した「Transitional」の2種類のファイルフォーマット仕様があります。
Office Open XMLは、以下のバージョンが発行されています。
第一版 (ECMA-376): 2006年12月発行。
第二版: 2008年12月発行。
第三版: 2011年6月発行。
第四版: 2012年12月発行。
* 第五版: 2021年12月発行。
Microsoft: Microsoft Office 2007でECMA-376第一版を標準ファイル形式として採用し、Office 2010でECMA-376第二版とISO/IEC 29500 Transitionalの読み書き、ISO/IEC 29500 Strictの読み込みをサポート。Windows 7のワードパッドでも、OpenDocument Textと共に対応しています。
LibreOffice: LibreOffice 3.4でOOXMLの読み書きに対応。
その他: Microsoft Office以外の多くのオフィススイートで、Office Open XMLファイルの読み込み、加工は可能ですが、保存はOpenDocument形式などで行う場合があります。日本語環境では、Kingsoft OfficeとLibreOfficeがOOXML形式での保存まで可能です。
Office Server Document Converter: アンテナハウスが、OOXML形式の文書ファイルをPDF、SVG、画像形式に変換するコンバータを提供しています。
OpenXMLは、ECMAでの標準規格承認後、ISOでの承認作業が進められました。しかし、日本政府は2007年夏から、ソフトウェアが扱う文書やデータが国際規格または日本工業規格に準拠していることを調達条件としたため、Microsoft Office製品が対象外になる可能性が懸念されました。
2007年7月1日にはNHKが「国がマイクロソフトのWordやExcelを購入できなくなる」と報道しましたが、総務省は「オープンな標準には国際規格だけでなく、その他の公的規格も含まれる」と反論しました。当時、OpenXMLはECMA-376として標準化されており、総務省の「その他の公的規格」に該当しました。
また、政府調達では、オープンな標準に準拠した製品の提案を求めるものであり、提案された製品を必ず調達するわけではないと説明しました。
マイクロソフトは、マサチューセッツ州がODFを標準文書として採用する動きに対応するため、「Open XML Translator」プロジェクトを立ち上げ、2007 Office system 用のODF対応プラグインを開発しました。2008年4月にOpenXMLがISO承認を得て、マイクロソフトは勝利を宣言しました。しかし、その後マイクロソフトはODFフォーマットにも対応し、相互運用性の向上を目指しています。
OpenXMLに類似する規格としてODFが存在しますが、互換性はありません。ODFを推進するフリーソフトウェア財団などは、OpenXMLを「クロスプラットフォームではない」「マイクロソフトのシェアを利用した暴力」と批判し、激しい応酬が繰り広げられました。
歴史と標準化
2006年12月にECMAによってECMA-376として標準化された後、2008年4月にはISO/IEC JTC1の副委員会SC 34において、ISO/IEC 29500として国際標準規格となりました。この標準化の過程で、競合する国際規格として「ISO/IEC 26300: OpenDocument Format (ODF)」が存在しました。Microsoft Office 2010は、ECMA-376の読み込みをサポートし、ISO/IEC 29500 Transitionalの完全なサポート、ISO/IEC 29500 Strictの読み込みをサポートしました。Microsoft Office 2013以降では、ISO/IEC 29500 Strictも完全にサポートしていますが、後方互換性の問題からデフォルトのファイル形式としては使用されていません。
概要
Microsoft Officeは、以前は独自のバイナリ形式を使用していましたが、Office 2007（バージョン12）からXMLベースのOffice Open XMLを標準ファイル形式として採用しました。この形式は、XMLで記述された文書データと画像などのバイナリデータを、オープン・パッケージング・コンベンションズによって1つのファイルにまとめた構造を持っています。このオープン・パッケージング・コンベンションズにはZIPが使用されています。従来の.doc、.xls、.ppt形式とのバイナリ互換性はありません。また、マクロを含む文書の拡張子は、.docm、.xlsm、.pptmとなります。
OpenXMLを標準フォーマットとして採用することには、以下のようなメリットがあります。
Microsoft Officeがインストールされていない環境でもファイルの読み書きが可能になる。
文書のパーツの再利用が容易になる。
パーツに分割することで、ファイル破損のリスクを限定できる。
ZIP圧縮されることで、ファイルサイズが小さくなる。
Office 2003以前でもXML形式（拡張子.xml）での保存は可能でしたが、Office Open XMLとは仕様が異なります。
仕様
Office Open XMLファイルは、複数のXMLファイルと関連するメディアファイルで構成されており、これらがZIP圧縮されて1つのパッケージとして扱われます。例えば、Wordの.docxファイルをZIP展開すると、以下のパーツで構成されていることがわかります。
`document.xml`: テキストコンテンツ
`fontTable.xml`: フォント表
`settings.xml`: 設定情報
`styles.xml`: テキストのスタイル情報
`webSettings.xml`: ウェブ用のスタイル情報
`media`: 画像などのメディアファイルを格納するフォルダ
`_rels`: 各パーツの関連性を記述するファイルを格納するフォルダ
これらのXMLファイルやフォルダの配置は、Open Packaging Conventionsで定められています。データは、以下のような専用のマークアップ言語を使用して表現されます。
PresentationML: PowerPointなどのプレゼンテーションデータ用。
SpreadsheetML (SML): Excelなどの表計算データ用。ワークブック下に複数のワークシートが連なる形式。
WordprocessingML (WML): Wordなどの文書データ用。本文、脚注、スタイルなどのパーツで構成。
DrawingML: 図形や画像などのデータ用。
Office MathML (OMML): 数式データ用。
仕様書
ISO/IEC 29500は、以下の4つのパートで構成され、それぞれが独立した規格です。
Part 1 (Fundamentals and Markup Language Reference): マークアップ言語に関する基本と詳細な参照。
Part 2 (Open Packaging Conventions): ファイルの構造に関する仕様。
Part 3 (Markup Compatibility and Extensibility): 互換性と拡張性に関する仕様。
Part 4 (Transitional Migration Features): 旧バージョンとの互換性に関する機能。
ISO/IEC 29500の仕様書は、オンラインで一部閲覧可能な部分と、購入が必要な完全版があります。2016年版は電子版でのダウンロードが可能です。
拡張子
Office Open XMLには、仕様の厳密さを重視した「Strict」と、過去との互換性を重視した「Transitional」の2種類のファイルフォーマット仕様があります。
バージョン
Office Open XMLは、以下のバージョンが発行されています。
第一版 (ECMA-376): 2006年12月発行。
第二版: 2008年12月発行。
第三版: 2011年6月発行。
第四版: 2012年12月発行。
* 第五版: 2021年12月発行。
アプリケーションの対応
Microsoft: Microsoft Office 2007でECMA-376第一版を標準ファイル形式として採用し、Office 2010でECMA-376第二版とISO/IEC 29500 Transitionalの読み書き、ISO/IEC 29500 Strictの読み込みをサポート。Windows 7のワードパッドでも、OpenDocument Textと共に対応しています。
LibreOffice: LibreOffice 3.4でOOXMLの読み書きに対応。
その他: Microsoft Office以外の多くのオフィススイートで、Office Open XMLファイルの読み込み、加工は可能ですが、保存はOpenDocument形式などで行う場合があります。日本語環境では、Kingsoft OfficeとLibreOfficeがOOXML形式での保存まで可能です。
Office Server Document Converter: アンテナハウスが、OOXML形式の文書ファイルをPDF、SVG、画像形式に変換するコンバータを提供しています。
近年の動向
OpenXMLは、ECMAでの標準規格承認後、ISOでの承認作業が進められました。しかし、日本政府は2007年夏から、ソフトウェアが扱う文書やデータが国際規格または日本工業規格に準拠していることを調達条件としたため、Microsoft Office製品が対象外になる可能性が懸念されました。
2007年7月1日にはNHKが「国がマイクロソフトのWordやExcelを購入できなくなる」と報道しましたが、総務省は「オープンな標準には国際規格だけでなく、その他の公的規格も含まれる」と反論しました。当時、OpenXMLはECMA-376として標準化されており、総務省の「その他の公的規格」に該当しました。
また、政府調達では、オープンな標準に準拠した製品の提案を求めるものであり、提案された製品を必ず調達するわけではないと説明しました。
マイクロソフトは、マサチューセッツ州がODFを標準文書として採用する動きに対応するため、「Open XML Translator」プロジェクトを立ち上げ、2007 Office system 用のODF対応プラグインを開発しました。2008年4月にOpenXMLがISO承認を得て、マイクロソフトは勝利を宣言しました。しかし、その後マイクロソフトはODFフォーマットにも対応し、相互運用性の向上を目指しています。
批判
OpenXMLに類似する規格としてODFが存在しますが、互換性はありません。ODFを推進するフリーソフトウェア財団などは、OpenXMLを「クロスプラットフォームではない」「マイクロソフトのシェアを利用した暴力」と批判し、激しい応酬が繰り広げられました。
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