S&Mシリーズ

S&Mシリーズ

森博嗣による推理小説シリーズ『S&Mシリーズ』は、講談社から刊行されています。その魅力は、理系的なトリックと登場人物たちの哲学的な思考が織りなす独特の世界観にあります。

シリーズ概要

このシリーズは、第1回メフィスト賞を受賞した森博嗣のデビュー作『すべてがFになる』から始まりました。シリーズ名は、主人公である犀川創平と西之園萌絵、二人の名前のイニシャルに由来します。

物語の基本的な構成は、西之園萌絵が事件に巻き込まれ、犀川創平がそれを解決するというパターンです。しかし、その展開は常に予測不可能で、読者を飽きさせません。

理系ミステリーとしての魅力

S&Mシリーズは「理系ミステリィ」と称されるように、ガジェットやトリックに工学などの理系分野の知識が用いられています。生命工学、情報工学、認知科学といった分野にも触れられており、従来の推理小説とは一線を画す、独特の雰囲気を醸し出しています。

一方で、登場人物たちの心理描写は非常に抽象的かつ哲学的です。特に、犀川創平の思考は、一般的な感情や倫理観とは異なる視点から描かれており、読者に深い思索を促します。

シリーズ構成

当初は5連作として企画されましたが、編集部の意向により、4作目に予定されていた『すべてがFになる』が1作目に変更されました。そのため、シリーズ全体の構成が再構築され、その後、新たな5連作が執筆されました。

シリーズは『有限と微小のパン』で一応の完結を迎えますが、他のシリーズ（Gシリーズ、四季シリーズ）との繋がりも多く、物語の時系列が前後することも珍しくありません。

主な登場人物

犀川創平: 国立N大学の助教授で、建築学を専門としています。論理的思考と冷静な判断力を持つ一方、興味のないことには全く関心を示さないという極端な性格の持ち主です。真賀田四季に強い興味を抱いています。
西之園萌絵: 国立N大学工学部建築学科の学生で、犀川の助手。名家の令嬢であり、天真爛漫な性格ですが、鋭い洞察力を持っています。犀川とは特別な関係にあり、彼の内面を理解しようと努めています。

各作品紹介

すべてがFになる: シリーズの原点。孤島の研究所で起こった密室殺人の謎に、犀川と萌絵が挑みます。
冷たい密室と博士たち: 極地環境研究センターで発生した密室殺人事件。極限状態での人間の心理が描かれます。
笑わない数学者: 天才数学者が住む館で起きた殺人事件。数学的なトリックと人間ドラマが絡み合います。
詩的私的ジャック: 大学構内で発生した連続殺人事件。ロック歌手の歌詞と事件の類似性が鍵となります。
封印再度: 旧家に伝わる家宝をめぐる謎。密室で起きた自殺事件の真相に迫ります。
幻惑の死と使途: 奇術師が密室状態の箱の中で殺害されるという不可解な事件。同時期に起きた「夏のレプリカ」と対になる作品です。
夏のレプリカ: 萌絵の友人が巻き込まれた誘拐事件。家族の秘密と事件の真相が明らかになります。
今はもうない: 山奥の別荘で起きた密室殺人事件。語り手「笹木」の視点から事件が描かれます。
数奇にして模型: 模型交換会で起きた首なし殺人事件。複雑に絡み合った謎に犀川と萌絵が挑みます。
有限と微小のパン: 日本最大のソフトウェアメーカーを舞台にした事件。天才プログラマの謎に迫ります。

メディアミックス

S&Mシリーズは、漫画、アニメ、ゲーム、テレビドラマ、舞台など、様々なメディアで展開されています。それぞれのメディアで、S&Mシリーズの魅力が異なる形で表現されています。

まとめ

S&Mシリーズは、理系ミステリーとしての面白さはもちろん、登場人物たちの魅力的なキャラクターや哲学的な思考など、様々な要素が組み合わさった作品です。推理小説ファンはもちろん、幅広い読者にオススメできるシリーズです。

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