SA 315 (航空機)

SA 315B ラマ：高高度性能に特化したフランスのヘリコプター

SA 315B ラマは、フランスで開発された単発ヘリコプターであり、特に高高度および高温環境下での運用に最適化されています。元々はインド軍の要求に応えるために設計され、アルエットIIの機体にアルエットIIIのコンポーネントを組み合わせて開発されました。現在でもインドでライセンス生産が行われています。

設計と開発

SA 315Bは、インド軍の「高温・高地」環境下での運用ニーズを満たすために開発されました。アルエットIIIのアルトウステエンジンとローターシステムを強化したアルエットIIの機体を組み合わせることで、優れた性能を実現しています。1969年3月17日に初飛行し、1970年にフランスの型式認定を受けました。その後、1971年7月に製造元によってラマと命名されました。

他のアルエットシリーズと同様に、SA 315Bは多用途に使用できます。旅客輸送や農業用途の他、軍用機としては連絡、観測、写真偵察、捜索救難、輸送、負傷者搬送などに用いられました。特に、その優れた性能から山岳地帯での運用に非常に適しており、最大1000 kgの荷物を吊り下げて運ぶことができました。

運用の歴史

SA 315Bは、高高度性能を重視して設計されており、その性能を示すために、1969年にヒマラヤでデモンストレーション飛行を実施しました。この飛行では、2名の搭乗員と120 kgの燃料を搭載し、高度7500mでの離着陸に成功しました。また、1972年6月21日には、操縦士1名が搭乗して高度12,440mというヘリコプターの到達高度記録を樹立しました。

この記録的な性能が評価され、SA 315Bはインド軍から発注を受けました。1971年には、インドのヒンドスタン航空機（HAL）でSA 315Bのライセンス生産が承認され、インドで組み立てられた最初のSA 315Bは1972年10月6日に初飛行し、1973年12月から納入が開始されました。HALで生産されたラマは「チーター」と名付けられました。その後、エンジンを強化した発展型「チータル」も製造されました。

しかし、機体の老朽化とそれに伴う事故が相次いだため、インド陸軍と空軍は2015年12月にChetakを含む280機の軽量ヘリコプターを地上待機としました。2016年1月にはこれらの退役が決定し、段階的に廃止され、ドゥルーブとKa-226Tによって代替される予定です。

1978年には、ブラジルのヘリブラス社（Helibras）がブラジルでラマを組み立てる契約を締結しました。ブラジル製のラマは「ガヴィオン」（Gavião／ポルトガル語で『鷹』）と名付けられ、ボリビアにも輸出されました。

日本では、東邦航空やアカギヘリコプターなどが運航していましたが、2018年夏に日本最後のラマとなったアカギヘリコプターの機体が退役しました。

派生型

SA 315B ラマ: SE.3150から派生。高高度での運用を考慮し、650kW (870shp)のチュルボメカ アルトウステ IIIB ターボシャフトエンジンを410kW (550shp)に減格して使用。この派生型は、1972年以来、ヘリコプターの到達高度記録を保持しています。
HAL チーター（Cheetah）: インドでライセンス生産されたSA 315B ラマ
HAL ランサー（Lancer）: 改良、近代化されたチーター
HB 315B ガヴィアオ（Gaviao）: ブラジルでライセンス生産されたSA 315B ラマ
HAL チータル（Cheetal）: エンジンをTM 333-2M2に変更し出力を強化したチーター

運用国

アンゴラ
アルゼンチン
ボリビア
チリ
エクアドル
インド
モロッコ
ネパール
パキスタン
トーゴ

要目

定員：乗員1名、乗客4名
全長：10.26 m
全高：3.09 m
主ローター直径：11.02 m
空虚重量：1,021 kg
全備重量：2,300 kg
エンジン：チュルボメカ アルトウステ IIIB ターボシャフトエンジン
最高速度：120 km/h
巡航高度：3,000 m

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