SARSコロナウイルス2の変異株B.1.617系統

SARSコロナウイルス2のB.1.617系統

SARSコロナウイルス2の変異株であるB.1.617系統は、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）を引き起こすウイルスの一つです。この系統は、2020年10月5日にインドのマハーラーシュトラ州で最初に確認され、日本では「インド型変異株」とも呼ばれています。B.1.617系統は、世界保健機関（WHO）によって懸念される変異株として分類され、いくつかの亜系統に分かれています。

変異株の分類

この系統は、PANGO（Phylogenetic Assignment of Named Global Outbreak Lineages）という命名法に基づき、2021年6月の時点で以下の3つの亜系統に分類されました：
1. B.1.617.1（カッパ株）
2. B.1.617.2（デルタ株） - 懸念される変異株
3. B.1.617.3

これらの亜系統は、感染力や伝播性について異なる特性を持っており、B.1.617.2（デルタ株）は特に注意が向けられています。具体的には、B.1.617.2は、感染者における広がりが非常に高いため、疫学的な影響が懸念されています。

変異の詳細

B.1.617系統は、スパイクタンパク質に特有の変異を持ち、特にL452R、D614G、P681Rが共通して見られます。この系統の亜系統であるB.1.617.1にはE484Q変異が見つかりますが、B.1.617.2にはこの変異が存在しません。一方で、B.1.617.2にはT478K変異があり、これが他の亜系統には見られない特異な特徴となっています。

2021年4月には、B.1.617.1（カッパ株）が調査中の変異株（Variant Under Investigation/VUI）に指定された後、B.1.617.2とB.1.617.3についても同様の指定がなされました。これに続き、ECDC（欧州疾病予防管理センター）は、これらの亜系統を注目すべき変異株（Variant of Interest/VOI）としてさらに重要視しました。

感染拡大と公共の健康への影響

B.1.617系統は、2021年にインドで発生したCOVID-19の第2波に大きく寄与したと考えられています。このため、多くの国々で注意を引き、各国の保健機関が感染拡大の防止に努めています。特に、B.1.617.2（デルタ株）は、感染者の増加に伴い、公共の健康に対するリスクがさらに高まっていると評価されています。

2021年5月6日、イングランド公衆衛生庁はB.1.617.2を懸念される変異株（VOC）に指定しました。WHOも同様に、システムの見直しを行い、B.1.617系統全体を注目すべき変異株から懸念される変異株に引き上げました。

日本の国立感染症研究所によれば、インドにおける急速な感染拡大に対しては、社会的接触の増加や他の変異株の影響も考慮する必要があるとされています。これにより、個々の変異株の影響を検討することが重要です。

まとめ

B.1.617系統はその変異特性、感染力、伝播性から、公衆衛生における重大な課題となっています。各国の保健機関は、これらの変異株の動向を注視しており、国際的な協力によってCOVID-19の拡大を抑えるための対策を講じています。

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