SB2U (航空機)

SB2U ヴィンディケイターについて

SB2U ヴィンディケイター（Chance Vought SB2U Vindicator）は、アメリカのヴォート社が開発した急降下爆撃機です。これが艦上爆撃機としての位置づけを持つのは、1930年代の技術的進化を反映した設計によるものです。特筆すべきは、折りたたみ式の主翼や引き込み式の landing gear（脚）を採用し、当時の艦上爆撃機としては非常に近代的な機体であった点です。アメリカでは「ヴィンディケイター」という愛称がありますが、これは「擁護者」を意味します。一方、イギリスでは「チェサピーク」という名前で知られ、これはヴァージニア州に住むチェサピーク族に由来しています。

開発と歴史の流れ

SB2Uの開発は1934年6月に始まり、1936年には初飛行が行われました。この機体は、海軍の他の計画の多くが失敗する中、唯一計画通りに製造が行われたものでした。1937年12月には正式に部隊に配属され、ダグラス社製のSBDドーントレスが登場するまでの間、アメリカ海軍の主力艦上爆撃機として活躍しました。また、同機はフランスへも輸出されており、フランス海軍向けに仕様を変更したモデルが40機発注され、1939年から引き渡しが始まりました。フランス向けの機体では、プロペラピッチを逆ピッチにしたダイブブレーキが主翼上下に取り付けられるなど、独自の改良が施されています。

第二次世界大戦初期の独仏戦に参加したものの、フランスの敗戦とともに、ヴィシー政権下で残存機はスクラップとして廃棄されました。太平洋戦線ではミッドウェー海戦に投入され、1機が重巡洋艦「三隈」に体当たりを仕掛けたことで、その名は知られています。特筆すべきは、フランス降伏によって未納の機体の一部がイギリスに引き取られ、チェサピークの名で訓練や標的曳航用に活用されたことです。

諸元と仕様

SB2Uの機体は、試作機から初期生産型、さらにはフランス海軍向けの改良型に至るまで、様々なバリエーションが存在します。主なモデルには以下のようなものがあります。

• - XSB2U-1: 試作機で、エンジンはR-1535-78（750馬力）。1機製造。
• - SB2U-1: 初期生産型で、R-1535-78エンジン（825馬力）を装備。54機製造。
• - SB2U-2: 機内備品を改良したもので、58機が生産されました。社内名称はV-156。
• - SB2U-3: R-1535-102エンジン（825馬力）を搭載し、機銃を12.7mmに換装した改良型。57機製造。

また、V-156F-3はフランス海軍向けの改良型で、84機が発注され、そのうち34機がフランスに納入されました。イギリスへの譲渡分も含め、機体は未使用のまま多くが消え去ることとなりました。

現存する機体と文化的影響

SB2U ヴィンディケイターは、戦争の激化とともに次第にその役割を終えましたが、今日もなおその存在感を放っています。一部の機体は博物館や特別展示で見ることが可能で、航空ファンにとって興味深い存在です。また、松本零士の作品『六発の文明』では、艦上爆撃機が英雄的な形で描かれており、その文化的影響も大きいといえるでしょう。

このように、SB2U ヴィンディケイターは、その性能や役割の重要さから航空史上に名を刻む存在となっています。

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