SCALP-EG/ストーム・シャドウ

ストーム・シャドウ（SCALP-EG）

ストーム・シャドウは、フランスとイギリスが共同で開発した空中発射巡航ミサイルで、正式名称SCALP-EG（フランス語: Système de Croisière Autonome à Longue Portée – Emploi Général）です。MBDA社が製造を担当し、イタリアなど他国でも採用されています。

概要

本ミサイルの起源は、1996年にフランス空軍がSCALP-EGという名称で採用したアパシュ対滑走路ミサイルの開発に遡ります。マトラ・デファンス社は、ブリティッシュ・エアロスペース社と統合し、新たにマトラ BAeダイナミクス社を設立し、2000年にはミラージュ 2000Nによる試射を成功させました。

ストーム・シャドウの試射も1999年にイギリスで行われ、2002年には正式にイギリスに納入されました。

設計

このミサイルは、本国仕様では最大560km、輸出仕様では250km以上の射程を持ち、高速で低空を飛行します。先端が尖っているためレーダー反射を抑えつつ、電子戦システムに対して非常に強い耐性を持つ誘導装置を搭載しています。

主な誘導方法には、GPS誘導、慣性航法誘導、地形プロファイルマッチング、赤外線画像誘導の4種類があり、発射前に目標を設定する必要があります。発射後、たとえGPSジャミングが発生しても、地形プロファイルマッチングに切り替えて目的地に向かいます。目標に接近すると、ホップアップ機動を行い、赤外線画像誘導に移行します。この機動によって、目標が動いても命中する可能性が高まります。

弾頭部と発射装置

ストーム・シャドウに搭載されている450kgのブローチ弾頭は、二段構造のため、強固な障害物を貫通し、続いて目標に打撃を与えることが可能です。また、海上目標に対する攻撃能力も備えており、多種多様な作戦に対応できます。

発射装置は、イギリス仕様では航空機から発射され、フランス仕様では大型艦艇や潜水艦からも利用されます。

実戦投入

ストーム・シャドウは2003年のイラク戦争で初めて実戦に使用され、その後も2011年のリビア内戦や、2023年にはウクライナにおいてロシアへの反撃に使われました。特に、ウクライナでは供与されたストーム・シャドウが高い命中率を記録し、戦果を上げています。

派生型

SCALP-EGの派生型にはMdCN（Missile De Croisière Naval）があり、水上艦や潜水艦から発射可能です。主に、2018年にはアキテーヌ級駆逐艦からの実戦投入が確認されています。

採用国

ストーム・シャドウは、イギリス、フランス、イタリア、ギリシャ、アラブ首長国連邦、カタールなど、多くの国に採用されています。特にウクライナへの供与が注目されており、現代の戦争における重要な武器とされています。

このように、ストーム・シャドウは精巧な設計と多用途性により、世界の軍事戦略において重要な役割を果たしています。

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