SECOND NAVIGATION

『スペクトラム4 SECOND NAVIGATION』は、1981年6月21日にビクター音楽産業からリリースされたスペクトラムの4枚目のアルバムです。

アルバム概要

このアルバムは、スペクトラムにとって重要な転換期を示す作品となりました。それまでグループ名義だった作曲が、メンバー個人の名義に変更された点が大きな特徴です。また、ジャケットには初めてメンバーの写真が使用され、ステージ衣装ではなく普段着に近い姿が写し出されています。これは、バンドの新たな一面を見せようとする試みだったと言えるでしょう。

さらに、このアルバムはスペクトラムの解散決定後に発売されたという背景があります。表題曲「Second Navigation」の歌詞には、各メンバーの新たな旅立ちが示唆されており、解散へのカウントダウンが始まったことを感じさせます。アルバム全体として、シングルカットを狙ったクオリティの高い楽曲が揃っていますが、曲調はバラエティに富んでいます。そのため、後に発売された『SPECTRUM BRASSBAND CLUB』との内容の大きな違いから、メンバー間の確執、特に新田一郎と他のメンバーとの間に溝が生じるきっかけになったとされています。

収録曲

1. Night Night Knight
2. Summertime Story
3. Paradise
4. Never Can Say Good-by
5. たそがれFeedback
6. Slapdash
7. なんとなくスペクタクル
8. 凍った太陽
9. Elegant Lady
10. Needs
11. Second Navigation

楽曲解説

Night Night Knight
アルバムからシングルカットされた楽曲で、アルバムでは曲の冒頭と末尾がカットされています。この曲は、スペクトラムの代表的な楽曲の一つとして知られています。

Summertime Story
奥慶一のファースト・ソロ・アルバム『ミスティ・モーニング』から流用された楽曲で、スペクトラム版として歌詞とアレンジが変更されています。特にホーンアレンジはシカゴ風にアレンジされており、原曲とは異なる魅力を放っています。この曲もシングルカットされており、アルバムのB面を飾っています。

Paradise

スペクトラムらしい、洗練されたサウンドが特徴の楽曲です。

Never Can Say Good-by

哀愁を帯びたメロディーが印象的なバラード曲です。

たそがれFeedback

スペクトラムの音楽性の幅広さを示す、実験的なサウンドが特徴的な楽曲です。

Slapdash
アルバム恒例のインストゥルメンタル曲です。メンバーの演奏技術の高さを感じさせます。

なんとなくスペクタクル
当時流行した田中康夫のデビュー作『なんとなく、クリスタル』のパロディとして制作された楽曲で、タイトルや歌詞に多数の注釈が付けられています。ユーモア溢れる歌詞が特徴的です。

凍った太陽

スペクトラムらしい、クールで都会的なサウンドが特徴の楽曲です。

Elegant Lady
吉田俊之名義の2曲のうちの1曲で、アルバムのつなぎとしてのインストゥルメンタル曲です。美しいメロディーが印象的です。

Needs

スペクトラムの音楽性の多様さを示す楽曲の一つです。

* Second Navigation
ドラムスの岡本郭男が唯一ボーカルを担当した楽曲であり、スペクトラムの解散を示唆する内容の歌詞が特徴です。この曲はアルバムのタイトルチューンであり、アルバム全体のテーマを象徴する重要な楽曲と言えます。

このアルバムは、スペクトラムの音楽的な進化と、解散という転換期を迎えたバンドの心情が反映された作品と言えるでしょう。それぞれの楽曲が持つ個性と、アルバム全体の構成のバランスが、聴きごたえのある一枚となっています。メンバー個人の才能が際立つ一方で、バンドとしてのまとまりも感じられる、スペクトラムの魅力を凝縮した作品です。

もう一度検索