SEREB

SEREB（弾道ミサイル研究開発協会）について

SEREB（Société pour l'étude et la réalisation d'engins balistiques）は、フランスの政府が設立した組織で、弾道ミサイルの研究と開発を目的としています。設立は1959年のことで、具体的には7月17日または9月17日とされます。この機関は、フランスの核抑止力の強化を図るために、シャルル・ド・ゴール大統領によって創設されました。ド・ゴールは、生産を伴わず、航空宇宙産業や電子産業と競合しない形での新しい機関を設立する意図を持っていました。彼は、海外技術に依存せずに潜水艦搭載型の核ミサイルなどの運搬手段の開発を求めていました。

そのため、SEREBは、フランス国内外の技術を自立して開発するための機関として位置づけられ、多くの予算は国家予算と民間からの資金提供によって賄われました。主要な出資者には、ノール・アビアシオンやシュド・アビアシオン、さらにはスネクマやマトラなどの企業が名を連ね、軍部からも原子力・代替エネルギー庁や国防省装備庁が関与していました。SEREBの初代局長には、シャルル・クリストフィーニが就任しました。

SEREB設立から一年経った後、1959年には基本的な弾道学の研究が始まりました。この研究は「宝石計画」（Pierres Précieuses）としても知られ、ノール・アビアシオンとシュド・アビアシオンが共同で進めました。宝石計画の下、アゲートやトパーズ、エムロード、リュビ、サフィールなど様々なロケットが開発され、衛星打ち上げ技術の向上を目指しました。

その成果として、SEREBはディアマンロケットを開発し、このロケットは1965年11月26日にアルジェリアのアマギール発射場から、フランス初の人工衛星「アステリックス」を軌道に投入することに成功しました。これはフランスの宇宙開発史において重要な一歩となりました。

しかし、SEREBの歴史はここで終わりません。1970年1月1日に、ノール・アビアシオンとシュド・アビアシオンとの合併により、SEREBは国立航空宇宙産業協会（SNIAS）となります。そして、これがアエロスパシアルに改名され、現在のエアバス・グループへと発展していくのです。この変遷は、フランスの航空宇宙産業の枠組みの中で、SEREBが持っていた役割の変化をも示しています。

SEREBの設立とその活動は、フランスの弾道ミサイル技術の発展に寄与し、国の防衛能力を強化するための重要なプロジェクトであったといえるでしょう。

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