SEXY STREAM LINER

『SEXY STREAM LINER』の概要

『SEXY STREAM LINER』（セクシー・ストリーム・ライナー）は、日本のロックバンドBUCK-TICKの10枚目のオリジナルアルバムである。このアルバムは1997年12月10日にマーキュリー・ミュージック・エンタテインメントからリリースされた。これはビクターエンタテインメントからの移籍後、初めてのアルバムであり、前作『COSMOS』から約1年半の間を経ての新作である。作詞は櫻井敦司と今井寿が担当し、作曲は主に今井と星野英彦の手によるものであり、BUCK-TICK自らのセルフプロデュース作品となった。

音楽的特長

本作は、ギターなしの楽曲やドラムが打ち込みによるものが多く、6枚目のアルバム『狂った太陽』からの流れを引き継ぎつつ、デジタル要素をさらに強調した作品となっている。音楽雑誌では「BUCK-TICK史上最大の異色作」と評されることもあり、そのため異色のカラーが際立つ。先行シングルの「ヒロイン」や、そのリカット版である「囁き」も含まれたこのアルバムは、BUCK-TICKの幅広い音楽性を感じさせる。

アルバム制作の背景

『COSMOS』のリリース後、バンドは1996年に「TOUR 1996 CHAOS」と題した全国ツアーを行ったが、次第にバンドメンバーは新たな方向性を模索するようになった。しかし、その途中、櫻井敦司がネパールで急性腹膜炎を発症し、帰国後に手術を余儀なくされるなど、波乱の展開があった。そのため本来のツアーは延期となり、新たに「BUCK-TICK TOUR'97 RED ROOM 2097」として行われることになった。この背景もあって、アルバムの制作には特異な状況が影響を与えた。

録音について

1997年にはサウンドスカイスタジオやエッグス&シェップスタジオで録音作業が行われ、元サンハウスの奈良敏博が共同プロデューサーとして参加した。今井は順調に曲作りが進んでおり、リズム録り開始時点で10曲が完成した状態であった。これに伴い、他のメンバーは作業に余裕を持って取り組むことができたが、打ち込み音源との同期には苦労が伴った。一方で、今井はコンセプトとして人間と機械の融合を目指していたが、櫻井はそのバランスに悩み、録音中に不安定さを感じたと回想している。

音楽と歌詞の特色

アルバムの音楽性について今井は「気持ち悪いところ」が気に入っていると語り、櫻井は「プルプル、ヌルヌル」と表現している。また、星野は一曲一曲が異なりながらもまとめられた印象を感じ取っている。歌詞でも、今井の制作した「リザードスキンの少女」や「MY FUCKIN' VALENTINE」など、テーマごとの多様性が見られ、音楽性の幅の広さが強調されている。

リリースとツアー展開

本作はリリース後、多くのファンから支持を受けた。リリース日当日には『SEXTREAM LINER零型 (type0)』として日本武道館での単独コンサートも行われ、続いて「TOUR SEXTREAM LINER」として全国ツアーが展開される。このツアーはバンドにとって大きな成功となり、ファイナルとなった公演の模様はライブアルバムやビデオとしてもリリースされた。

批評と成果

音楽情報サイトでは、このアルバムのテクノ色が強調されており、BUCK-TICKのカリスマ性と実験的なサウンドが共存する点が称賛された。また、オリコンチャートでは最高位4位を記録し、売り上げも10.8万枚に達するなど、商業的にも成功を収めた。

『SEXY STREAM LINER』は、今後も日本のロックシーンにおいて特別な位置を占め続ける作品であり、BUCK-TICKの変革と進化が詰め込まれた一枚である。

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