SO REAL

小比類巻かほる『SO REAL』：1980年代後半を彩った名盤の全貌

1988年11月11日、ソニーレコードからリリースされた小比類巻かほる5枚目のオリジナルアルバム『SO REAL』。オリコンチャート1位を獲得したこの作品は、彼女にとって特別な意味を持つ一枚と言えるでしょう。

前作『Hearts On Parade』から約10ヶ月ぶりのリリースとなった本作は、EPIC/SONY RECORDS在籍時のシングル曲を多数収録。ベストアルバムと呼べるほどの充実した内容で、まさに同レーベルでの集大成と言えるでしょう。事実、このアルバムが、小比類巻かほるにとってEPIC/SONY RECORDSからの最後のオリジナルアルバムとなりました。翌年にはTDKコアへと移籍する彼女にとって、このアルバムはキャリアにおける重要な転換点を示す作品と言えるでしょう。

アルバム全体を通して、小比類巻かほる自身の作詞による楽曲が多くを占めており、彼女の音楽性、そしてその時代の空気感が鮮やかに表現されています。作曲は主に大内義昭氏、編曲には土屋昌巳氏をはじめとする実力派ミュージシャンが参加しており、高い音楽性が感じられる仕上がりとなっています。

特に注目すべきは、シングル曲のリミックスや新バージョンが複数収録されている点です。既に発表されていた楽曲たちが、アルバムという枠組みの中で新たな魅力を放っています。例えば、2ndシングルの新バージョンとして収録された「両手いっぱいのジョニー (SO REAL Version)」や、11thシングル「TOGETHER (SO REAL Version)」などは、シングル版とは異なるアレンジが施され、アルバム全体の世界観に溶け込むように制作されています。

また、日本テレビ系ドラマ「新婚物語」「結婚物語」の主題歌として書き下ろされた「TONIGHT」「Hold On Me」といった楽曲も収録。これらの楽曲は、ドラマの主題歌として書き下ろされたものであるため、ドラマの世界観と楽曲の世界観が絶妙に融合した、ドラマチックな内容となっています。さらに、CMソングとして使用された楽曲なども収録されており、当時の世相を反映した、多様な楽曲が収録されています。

収録曲の中には、「I'm Good At It (SO REAL Version)」のように、1stアルバム『CALL MY NAME』収録の「ダンシング・ルーレット」を別詞・新アレンジで収録した楽曲もあり、小比類巻かほる自身の音楽的進化を伺わせるものとなっています。これらの楽曲アレンジは、アルバムの統一感を損なうことなく、それぞれの楽曲の個性を最大限に引き出していると言えるでしょう。

『SO REAL』は、単なる楽曲の寄せ集めではなく、一つの完成された作品として、高い芸術性と商業的な成功の両方を獲得した稀有なアルバムです。数々のヒットシングルを収録し、オリコン1位を獲得した事実は、その人気と完成度の高さを証明しています。そして、彼女が次のステップへと進むための、重要な通過点となったアルバムでもあります。1995年にはCD選書として再発売され、現在でも多くのファンから愛され続けている、まさに時代を超越した名盤と言えるでしょう。

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