STANDARD (ASKAのアルバム)

ASKAによるカバーミニアルバム『STANDARD』は、2009年11月25日にユニバーサル シグマより発売されました。この作品は、ASKAにとって初めてのカバーアルバムであり、後にリリースされるフルアルバム『BOOKEND』へと繋がる、彼のカバーワークにおける初期の重要な位置を占めています。

本作のリリースは、2009年12月に名古屋、東京、大阪で開催されたASKAのクリスマスコンサート「ASKA THE MELODY YOU HEARD THAT NIGHT 昭和が見ていたクリスマス」に合わせて企画されました。このコンサートに先行する形で発表されたことは、クリスマスという季節感を強く意識した作品であることを物語っています。また、同日にはライブDVD『ASKA CONCERT TOUR 2009 WALK』も発売されており、ファンにとって立て続けに新たな作品に触れる機会となりました。ASKAがクリスマスをテーマとした作品を発表するのは、チャゲ&飛鳥名義で1986年12月5日に発売されたミニアルバム『Snow Mail』以来、実に23年ぶりのこととなり、この点でも大きな注目を集めました。

『STANDARD』には、ジャンルや年代を超えた名曲5曲が収められています。これらの収録曲は、すべて前述のクリスマスコンサートで演奏されました。ASKAはこれらの楽曲をビッグバンドを従えて披露し、そのゴージャスかつダイナミックなサウンドは観客から喝采を浴びました。ビッグバンドをフィーチャーしたアレンジは、原曲の魅力を生かしつつ、ASKAのボーカルと相まって楽曲に新たな生命を吹き込んでいます。なお、このミニアルバムに収録された全5曲は、2011年12月7日に発売されたASKAのカバー・アルバム『BOOKEND』にも再度収録されています。

本作に収められた各楽曲は、それぞれが音楽史において特別な地位を占めています。

Smile: 喜劇王チャールズ・チャップリンが監督・主演した1936年の映画『モダン・タイムズ』のために作曲されたインストゥルメンタル楽曲に、後に歌詞がつけられたものです。
The Christmas Song: 「チェストナッツ・ロースティング・オン・アン・オープン・ファイアー」としても知られる、クリスマスの時期には欠かせないスタンダードナンバーです。メル・トーメが1944年に作曲しました。
世界にMerry X'mas: CHAGE&ASKAが1992年に発表したアルバム『GUYS』に収録されていた楽曲の、ASKA自身によるセルフカバーバージョンです。オリジナルとは異なる雰囲気で新たな魅力を放っています。
Stardust: 1927年に発表され、1929年に歌詞が加えられたこの曲は、ジャズを中心に数えきれないほどのアーティストによってカバーされており、「スタンダード中のスタンダード」と称される普遍的な名曲です。
* Good Night: 世界的に有名なロックバンド、ビートルズが1968年に発表した通称「ホワイト・アルバム」（正式名称：『ザ・ビートルズ』）の最後に収録された、シンプルな子守歌です。

本作の制作には、澤近泰輔氏が主要な音楽家として携わっており、すべてのキーボード演奏および追加の楽器演奏を担当しました。彼の洗練されたアレンジと演奏は、アルバム全体のサウンドスケープを形成する上で重要な役割を果たしています。

このミニアルバム『STANDARD』は、ASKAが過去の名曲に敬意を払いながら、自身の歌声と解釈を通して新たな息吹を吹き込んだ意欲作であり、後の本格的なカバーアルバムへと繋がる彼の音楽的な探求の一端を示しています。作品の背景や制作意図に関する詳細な情報は、CHAGE and ASKAファンクラブ会報「TUG OF C&A」2009年11月号に掲載されたASKA SIDEの『Standard ライナーノーツ』にも記載されています。

本作に関する情報は、ASKAの公式サイト「Fellows ASKA Official Web Site」でも確認することができます。

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