STOLEN SONG

『STOLEN SONG』（ストールン・ソング）は、1997年にソニー・コンピュータエンタテインメントと東芝EMIから発売された、革新的なギター演奏ゲームです。PlayStation版とWindows 95版が同時リリースされ、当時としては画期的な、ギター演奏をモチーフとしたゲームプレイが大きな話題となりました。

このゲームの最大の特徴は、布袋寅泰をメインキャラクターに起用している点です。エアロスミスを起用した『クエスト・フォー・フェイム』とシステムを共有する本作は、布袋寅泰の音楽と映像をふんだんに盛り込み、プレイヤーを彼の音楽世界へと誘います。

ゲームシステムは、画面下部に表示される「リズムEKG」と呼ばれる波形に合わせて、タイミングよく演奏を行うというもの。オプションとして販売された「Vピック」という外部コントローラーを使用することで、よりリアルなギター演奏体験を楽しむことができます。VピックはPlayStation版ではコントローラー端子に、Windows 95版ではシリアル端子に接続して使用します。ただし、Vピックがなくてもゲームをプレイすることは可能です。

ゲーム内には、布袋寅泰の1996年コンサートツアー「SPACE COWBOY TOUR」から、数多くの楽曲と映像が使用されています。ツアーメンバーである辻剛、HIROSHI、中幸一郎もゲーム内に登場し、当時のマネージャーやスタッフも端役として出演しています。ただし、富樫春生のみは出演していません。

収録楽曲は、布袋寅泰の代表曲に加え、ゲームのために書き下ろされた楽曲も含まれています。代表的な楽曲として「RADIO! RADIO! RADIO!」、「CAPTAIN ROCK」、「POISON」、「I'M FREE」、「SERIOUS?」、「BOYS BE AMBITIOUS」、「命は燃やしつくすためのもの」などが挙げられます。これらの楽曲の多くは、2人プレイ可能なバンドモードに対応しており、一方がギター、もう一方がドラムパートを担当して演奏を楽しむことができます。さらに、ゲームオリジナルのインストゥルメンタル曲「Fun3」も収録されており、本作のストーリーにおいて重要な役割を果たしています。「Fun3」は後にアルバム『B-SIDE RENDEZ-VOUS』にアレンジバージョン「FUN FUN FUN」として収録されました。タイトル画面のBGMなど、ゲームで使用されているその他の楽曲も、布袋寅泰によって制作されたものです。

ゲームオリジナル楽曲として、「ZINO'S TRACK」（布袋のプライベートスタジオで最初にレコーディングされた曲）や「PROTO'S CHALLENGE」（ギターショップでプロトと対決する際に流れる曲）なども収録。これらの楽曲は、ゲームの世界観をより深く、そしてリアルに演出する上で重要な役割を果たしています。

1998年には、ゲームの攻略本『STOLEN SONG SUPERGUIDE』（エニックス刊）も発売され、多くのプレイヤーに支持されました。

『STOLEN SONG』は、布袋寅泰の音楽と、革新的なゲームシステムが見事に融合した、音楽ゲーム史上に残る名作と言えるでしょう。当時、音楽ゲームというジャンルがまだ発展途上であった時代において、『STOLEN SONG』は、その可能性を大きく広げた、先駆的な作品でした。

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