STS-131

STS-131ミッションの概要

STS-131は、2010年4月にスペースシャトル・ディスカバリーによって実施された、国際宇宙ステーション（ISS）の組立ミッション（19A）です。このミッションでは、多目的補給モジュール（MPLM）「レオナルド」を使用して、ISSへの機材や物資の輸送・補給が主な目的でした。さらに、3回の船外活動が行われ、S1トラスのアンモニアタンク（ATA）やS0トラスのレートジャイロアセンブリ（RGA）の交換作業が実施されました。

このミッションには、日本の山崎直子宇宙飛行士が初飛行を果たし、ISSに長期滞在中の野口聡一宇宙飛行士と合わせて、日本人2名が同時に宇宙に滞在するという初の事例となりました。また、7人以上の宇宙飛行士が搭乗した最後のスペースシャトルミッションとなり、日本人がスペースシャトルに搭乗したのもこのミッションが最後となりました。

ISSには、スペースシャトルの乗組員3名と第23次長期滞在員1名を加えた、過去最多となる4名の女性宇宙飛行士が滞在しました。当初、打ち上げは3月18日に予定されていましたが、フロリダ州を襲った寒波の影響で機体の準備作業が遅れ、4月5日に延期されました。

ペイロード

STS-131では、ISSに以下の多数の物資が搬入されました。

地球観測用のWORF（Window Orbital Research Facility）ラック
クルーの個室ラック
MARES（Muscle Atrophy Resistive Exercise）実験ラック
EXPRESS-7ラック
MELFI（Minus Eighty Degree Laboratory Freezer for ISS）-3冷凍冷蔵庫ラック
保管ラックZSR（Zero-g Stowage Rack）2台
GLACIER（General Laboratory Active Cryogenic ISS Experiment Refrigerator）冷凍冷蔵庫
Sabatier（ISSで排出されていた二酸化炭素と水素から水とメタンを生成する装置）
IVGEN（Intra Venous Fluid Generation）実験装置（飲料水から点滴用の生理食塩水を作る医療用浄水装置）
その他、飲料水、食糧、衣服、タオル、実験装置、船外活動機器、二酸化炭素吸着キャニスタ、照明装置、交換用の予備品など

また、以下の物資が回収されました。

STS-130で物資輸送に使用したISP（Integrated Stowage Platform）3台
デスティニーに設置されていた暫定的な個室TeSS（Temporary Sleep Station）
日本の曝露実験装置MPAC&SEED
船外活動で回収したクエストエアロックのデブリシールド2枚
その他、実験装置、実験試料、故障した機器、使用済み衣類、梱包材、食品容器などのゴミなど

トラブル

打ち上げ直後、映像や高速データ通信、ランデブーレーダーとして使用するKuバンドアンテナが故障しました。これにより、耐熱パネルの検査データを地上へ送信できなくなり、後期点検をISSとのドッキング中に行い、ISSのKuバンド回線を経由して送信することになりました。この影響でミッション期間は1日延長されました。さらに、ケネディ宇宙センターの悪天候により帰還が1日延期され、4月20日に帰還しました。

ミッション終了後、科学教育関連の事業を行うベンチャー企業リバネスから委託された9種類の種子（大豆、トマト、ホップ、ウコンなど）が行方不明になっていることが判明しました。これらの種子は、STS-128で「きぼう」に運ばれ、STS-131で地球に帰還する予定でしたが、ミッション終了後に紛失が確認されました。NASAやISSでの捜索でも発見されず、JAXAは責任を認め、STS-133で同じ種子が運搬されました。

また、山崎宇宙飛行士が故郷の松戸市から依頼されたカボチャ種子「松戸白」230粒と、カンボジアのカボチャと交配させた「国際交流かぼちゃ」の種子120粒のうち、後者がシャトルに搭載されていなかったことが、着陸後に判明しました。松戸市は、松戸白の種子のみを教育事業に利用すると発表しました。

乗組員

アラン・ポインデクスター (2) - 船長
ジェームズ・ダットン (1) - パイロット
リチャード・マストラキオ (3) - ミッションスペシャリスト
ドロシー・リンデンバーガー (1) - ミッションスペシャリスト
クレイトン・アンダーソン (2) - ミッションスペシャリスト
ステファニー・ウィルソン (3) - ミッションスペシャリスト
山崎直子 (1) - ミッションスペシャリスト（日本、JAXA）

※()内は今回を含めたフライト経験数。

ギャラリー

（画像は省略）

脚注

STS-131 Mission Information - NASA
国際宇宙ステーションの組立フライト 19A（STS-131） - JAXA
* 山崎宇宙飛行士のスペースシャトル搭乗ミッション（STS-131/19A）の結果について 2010年4月21日 宇宙開発委員会報告資料

もう一度検索