STS-31

STS-31：ハッブル宇宙望遠鏡の軌道投入ミッション

STS-31は、スペースシャトル・ディスカバリーによって実施された、記念すべきミッションです。その主要な目的は、ハッブル宇宙望遠鏡（HST）を地球周回軌道に投入することでした。1990年4月24日、フロリダ州のケネディ宇宙センター39B発射台から打ち上げられたこのミッションは、宇宙開発における重要な一歩となりました。

ミッションの背景

この打ち上げは、1986年1月以来初めて、2機のシャトルが同時に発射台に設置されるという珍しい状況下で行われました。ディスカバリーが39B発射台に、コロンビアが39A発射台に待機していました。

ミッションの目的と成果

4月25日、HSTは無事に放出されました。HSTは、地球の大気の影響を受けずに宇宙を観測するために設計された、NASAとESAの共同プロジェクトです。紫外線、可視光、近赤外線を利用して天体を観測することで、宇宙の謎に迫ることが期待されました。

ミッション中には、シャトルの貨物室を利用した科学実験や、IMAXカメラによるミッションの記録も行われました。ディスカバリーは地球を80周回し、その間に様々なデータ収集と撮影を行いました。

HSTの寿命を最大限に延ばすため、ディスカバリーは高度約600kmという、当時としては非常に高い軌道に投入されました。この高度からの撮影により、低い軌道からは不明瞭な地球の地理的特徴を捉えることが可能になりました。

乗組員

このミッションを支えたのは、以下の5人の勇敢な宇宙飛行士たちです。

船長：ローレン・シュライヴァー (2)
操縦手：チャールズ・ボールデン (2)
ミッションスペシャリスト：スティーブン・ホーリー (3)
ミッションスペシャリスト：ブルース・マッカンドレス2世 (2)
ミッションスペシャリスト：キャサリン・D・サリバン (2)

ミッションの詳細

打ち上げ日時: 1990年4月24日 12:33:51 UTC
着陸日時: 1990年4月29日 13:49:57 UTC
着陸場所: カリフォルニア州エドワーズ空軍基地 22番滑走路
軌道傾斜角: 28.5°
周期: 96.7 分

打ち上げは、技術的な問題により何度か延期されましたが、最終的には成功を収めました。打ち上げ重量は249,109 lb（112,994 kg）でした。

その他のペイロードと実験

HSTの放出以外にも、様々なペイロードと実験が搭載されました。

IMAX Cargo Bay Camera (ICBC): 船外活動を記録
携帯型IMAXカメラ: 船内での撮影
Ascent Particle Monitor (APM): 貨物室内の粒子状物質を検出
Protein Crystal Growth (PCG): 微小重力環境で成長するタンパク質結晶のデータを収集
Radiation Monitoring Equipment III (RME III): 船室内のガンマ線を測定
Investigations into Polymer Membrane Processing (IPMP): 微小重力環境での多孔性制御を測定
Shuttle Student involvement program (SSIP): 無重力状態が電気アークに与える影響を調査する学生実験
Air Force Maui Optical Site (AMOS)

ミッションの意義

STS-31ミッションは、ハッブル宇宙望遠鏡の軌道投入を通じて、天文学の分野に革命をもたらしました。HSTは、それまで地上からの観測では不可能だった、鮮明な宇宙の画像を提供し、宇宙の理解を深める上で不可欠な役割を果たしています。また、このミッションは、宇宙開発における国際協力の重要性を示すものでもあります。

着陸時には初めてカーボンブレーキが使用されました。オービタは1990年5月7日にKSCに帰還し、その着陸重量は189,118lb（85,782kg）でした。

外部リンク

NASA mission summary - ウェイバックマシン
STS-31 Video Highlights - ウェイバックマシン
The Eighth Wonder: Happy 24th Birthday, Hubble (Part 1) AmericaSpace.com
To the Brink, From the Brink: Happy 24th Birthday, Hubble (Part 2) AmericaSpace.com