STS-47

STS-47ミッション：宇宙開発における日米協力の軌跡

1992年9月12日から20日にかけて実施されたSTS-47ミッションは、スペースシャトル・エンデバーによる50回目の飛行として歴史に刻まれています。このミッションは、アメリカ航空宇宙局（NASA）と日本の宇宙開発事業団（NASDA、現JAXA）の共同宇宙実験プロジェクトとして注目を集めました。7名の宇宙飛行士からなるクルーは、微小重力環境下での様々な科学実験を行い、宇宙における生命科学研究に大きく貢献しました。

乗組員：国際的な協調の象徴

STS-47ミッションの乗組員は、アメリカと日本の宇宙開発機関の連携を象徴する多様な顔ぶれでした。船長にはロバート・ギブソン、操縦手にはカーティス・ブラウンが任命されました。ミッションの成功に大きく貢献したペイロード・コマンダーにはマーク・リー、ミッション・スペシャリストにはジャン・デイビスとジェローム・アプトが選ばれました。

特筆すべきは、女性初の黒人宇宙飛行士であるメイ・ジェミソンと、日本人宇宙飛行士として初めてアメリカ合衆国のスペースシャトルに搭乗した毛利衛氏の参加です。彼らの存在は、国際協力による宇宙開発の進展を鮮やかに示しています。毛利氏はペイロード・スペシャリストとして、日本の宇宙開発における技術と経験をこのミッションに貢献しました。

ミッション概要：微小重力環境下での科学実験

STS-47ミッションの主要な目的は、スペースラブ・モジュールを用いたNASAとNASDAの共同実験の実施でした。実験内容は多岐に渡り、微小重力環境下での材料科学実験や生命科学実験が中心でした。

材料科学実験では、宇宙空間の特殊な環境を利用して、地球上では実現できないような物質の生成や特性評価を行いました。これは、新しい材料開発や既存材料の改良に繋がる重要な研究です。

一方、生命科学実験では、宇宙環境が生物に与える影響に関する貴重なデータが収集されました。特に、鯉を用いた宇宙酔いに関する動物実験は、宇宙飛行士の健康管理や宇宙での生命維持システムの開発に役立つ知見をもたらしました。これらの実験結果は、今後の宇宙探査や宇宙滞在における安全性の向上に貢献するものと期待されます。

ミッションパラメータ：軌道の詳細

STS-47ミッションは、高度約297kmから310kmの軌道を周回しました。軌道傾斜角は57°で、地球の様々な地域を観測することができました。着陸時の質量はペイロードを含め約99,450kg、ペイロードの質量は約12,485kgでした。これらの数値は、ミッションの規模と、搭載された実験装置の複雑さを示す重要な指標です。

歴史的意義：宇宙開発における新たな一歩

STS-47ミッションは、単なる宇宙実験ミッションではありませんでした。日米両国の宇宙機関が緊密に協力して行われたこのミッションは、宇宙開発における国際協力の新たな地平を開きました。また、毛利衛氏の参加は、日本の宇宙開発における国際的なプレゼンスを高めることに大きく貢献しました。STS-47ミッションで得られた成果は、後の宇宙研究開発に多大な影響を与え、人類の宇宙進出に向けた重要な一歩となりました。 将来の宇宙探査計画において、このような国際協力体制がますます重要となることは間違いありません。

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