STS-82

STS-82：ハッブル宇宙望遠鏡、2度目の刷新

STS-82は、スペースシャトルディスカバリーによって行われた22回目の飛行であり、スペースシャトル計画全体では82回目のミッションにあたります。このミッションの主要な目的は、ハッブル宇宙望遠鏡（HST）に対する2回目のサービスミッションとして、その科学機器の修理、更新、そして性能向上を図ることでした。

ミッション概要

1997年2月11日、STS-82はフロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられ、オービタとしては最高の高度となる620kmに到達しました。ミッションは1997年2月21日にケネディ宇宙センターへ帰還し、成功裏に終了しました。

乗組員

船長：ケネス・バウアーソックス
操縦士：スコット・ホロウィッツ
ミッションスペシャリスト1：ジョセフ・タナー
ミッションスペシャリスト2：スティーヴン・ホーリー
ミッションスペシャリスト3：グレゴリー・ハーボー
ミッションスペシャリスト4：マーク・リー
ミッションスペシャリスト5：スティーヴン・スミス

ミッションの目的と実施内容

HSTは1990年4月に軌道へ投入されて以来、宇宙の観測において重要な役割を果たしてきました。STS-82では、望遠鏡の能力を向上させ、その機能を長期にわたって維持するための重要な作業が行われました。

ミッション3日目には最初の宇宙遊泳が行われ、2つの古い機器（ゴダード高分解能分光器と微光天体分光器）が回収され、それぞれ宇宙望遠鏡撮像分光器（STIS）と近赤外線カメラ・多天体分光器（NICMOS）という2つの新しい機器が設置されました。これらの新しい機器は、HSTの観測能力を大幅に向上させるものでした。

既存のハードウェアの更新と修理も行われました。ファイン・ガイダンス・センサーが修理され、オープンリール式のテープレコーダーは、より大容量で柔軟性の高いソリッドステートレコーダー（SSR）に交換されました。また、4つのリアクションホイールのうちの1つが交換され、望遠鏡の姿勢制御能力が維持されました。

宇宙遊泳の詳細

STS-82では合計5回の宇宙遊泳が行われ、総時間は33時間11分に及びました。以下は各宇宙遊泳の主な内容です。

1回目：STISとNICMOSの設置
2回目：ファイン・ガイダンス・センサーの修理とOptical Control Electronics Enhancement Kitの設置、断熱材の点検
3回目：Data Interface Unitの交換、SSRの設置、リアクションホイールの交換
4回目：Solar Array Drive Electronicsの交換、磁力計カバーの交換、断熱ブランケットの設置
5回目：望遠鏡のサポートシステムモジュールセクション上部の断熱ブランケットの取り付け

ミッションの成果

STS-82は、スペースシャトルが軌道上の宇宙船にサービスを提供する能力を改めて実証しました。このミッションによってHSTの機器が更新され、その観測能力が大幅に向上しました。特に、STISは超大質量ブラックホールの研究に、NICMOSは近赤外線領域での宇宙観測に新たな光を当てる事が期待されました。

ミッション中には、HSTの軌道を高くするために何度かジェットが噴射され、最終的にはこれまでで最高の高度620kmに到達しました。新しい機器や装置の初期チェックでは、すべてが正常に機能していることが確認されました。

まとめ

STS-82は、ハッブル宇宙望遠鏡の性能を最大限に引き出すことに成功した重要なミッションでした。このミッションによって、HSTは宇宙の謎を解き明かすための強力なツールとして、その役割をさらに強化しました。

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