STS-84

STS-84：アトランティスによるミールへの補給と宇宙飛行士交代

STS-84は、スペースシャトル・アトランティスを使用して行われた、ミールへの6回目のドッキングミッションです。このミッションは、シャトル・ミール計画の一環として実施され、物資の補給、科学実験の実施、そして宇宙飛行士の交代を目的としていました。

ミッション概要

宇宙船: スペースシャトル・アトランティス
ミッション: ミールとのドッキング、物資の輸送、科学実験、宇宙飛行士の交代

乗組員

船長：チャールズ・プリコート
操縦手：アイリーン・コリンズ
ミッションスペシャリスト1：ジャン＝フランソワ・クレルボワ (ESA)
ミッションスペシャリスト2：カルロス・ノリエガ
ミッションスペシャリスト3：エドワード・ルー
ミッションスペシャリスト4：エレーナ・コンダコワ (RKA)
ミッションスペシャリスト5（打上げ時）：マイケル・フォール
ミッションスペシャリスト5（帰還時）：ジェリー・リネンジャー

ミッションの目的とハイライト

STS-84は、スペースシャトルとミールの9回予定されていたドッキングのうち6回目にあたります。このミッションでは、3,318kgもの水や貨物がミールへ輸送され、実験機材の補給や実験サンプル、データの地球への持ち帰りが実施されました。これにより、アメリカ合衆国によるミールでの実験が拡大されました。

宇宙飛行士の交代

このミッションでは、マイケル・フォールがジェリー・リネンジャーと交代し、ミールでのアメリカ人宇宙飛行士の長期滞在が継続されました。リネンジャーはミールで123日間を過ごし、合計132日間宇宙に滞在しました。当時、シャノン・ルシッドに次ぐアメリカ人として2番目の宇宙滞在記録を樹立しています。

リネンジャーのミール滞在

リネンジャーのミール滞在中には、アメリカ人とロシア人による初の船外活動も行われました。リネンジャーは、ミール船長のワシリー・ツィブリエフとともに、ステーションの外側にモニターを取り付ける作業を行いました。このモニターは、宇宙環境が光学機器に与える影響を研究するために設置されました。

また、リネンジャーの滞在中には、ミールで火災が発生するという事故もありました。火災は最小限の損傷で済みましたが、一時的に滞在者は防護マスクを着用する必要がありました。

ドッキングと物資の移動

アトランティスは、5月17日にミールとドッキングし、両機の間でハッチが開かれました。その後、乗組員間の挨拶や引継ぎが行われました。物資の移動はスムーズに進み、予定よりも早く完了しました。約249のアイテムが移動され、約450kgの水がミールに運ばれました。

科学実験

フォールは、先端技術、地球観測、基礎生物学、生活科学、宇宙ステーションのリスク軽減、微小重力科学の6つの分野で35の実験を行いました。これらの実験は、微小重力環境下での生物学や結晶成長の研究を目的としていました。

ドッキング解除とミッションの完了

アトランティスは、5月22日にミールとのドッキングを解除しました。ドッキング解除後、アトランティスは将来の欧州宇宙機関の補給船が国際宇宙ステーションとランデブーするために設計されたセンサーを用いてデータを収集しました。

このミッションでは、スペースハブのバイオラック施設を用いた研究、ドッキング中のミールの写真観測、環境大気のサンプリング、放射線のモニタリング等も行われました。

STS-84は、ミールへの物資補給と宇宙飛行士の交代を成功させ、アメリカ合衆国のミールにおける実験活動を大きく前進させた重要なミッションとなりました。

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