STS-87

スペースシャトル STS-87 ミッション

STS-87は、1997年11月19日にケネディ宇宙センター第39発射施設から打ち上げられたスペースシャトルミッションです。これはスペースシャトル計画において88回目、コロンビア号にとっては24回目の飛行でした。

ミッションの目的

STS-87の主な目的は以下の通りでした。

微小重力実験の実施: 米国の微小重力ペイロード（USMP-4）を用いて、様々な科学実験を行います。
宇宙遊泳（EVA）の実施: 2回の宇宙遊泳を行い、宇宙空間での作業技術の向上を目指します。
SPARTAN-201実験の展開: 太陽物理学研究のためのSPARTAN-201衛星を展開し、太陽コロナの観測を行います。

このミッションは、コロンビア号から初めて宇宙遊泳が行われたという点でも特筆されます。当初、コロンビア号での宇宙遊泳は1982年のSTS-5で計画されていましたが、宇宙服の問題により中止となっていました。また、日本人宇宙飛行士の土井隆雄氏が初めて宇宙遊泳を実施したミッションでもあります。

クルー

ケビン・R・クレベル（船長）
カーティス・L・ブラウン・ジュニア（パイロット）
ウィンストン・E・スコット（ミッションスペシャリスト）
土井隆雄（ミッションスペシャリスト、JAXA）
カルパナ・チャウラ（ミッションスペシャリスト）
レナード・エール・サラディン（ミッションスペシャリスト）

スペースウォーク

EVA 1 (スコット & 土井): 1997年11月25日 00:02 UTC - 07:45 UTC (7時間43分)
EVA 2 (スコット & 土井): 1997年12月3日 09:09 UTC - 14:09 UTC (4時間59分)

ミッションのハイライト

STS-87では、以下のペイロードが搭載されました。

米国の微小重力ペイロード（USMP-4）: 微小重力環境下での様々な科学実験を実施。
Spartan-201: 太陽コロナの観測を行う太陽物理学衛星。
軌道加速研究実験（OARE）
TEVAデモンストレーション飛行試験5（EDFT-05）
シャトルオゾンリム送信実験（SOLSE）
ループヒートパイプ（LHP）
ナトリウム硫黄電池実験（NaSBE）
乱流GASジェット拡散（G-744）実験
自律EVAロボットカメラ/スプリント（AERCamスプリント）実験: 宇宙遊泳支援用の小型カメラロボットの試験。

ミッドデッキでは、ミッドデッキグローブボックスペイロード（MGBX）と共同ウクライナ実験（CUE）が実施されました。

米国微小重力ペイロード（USMP-4）

USMP-4は、マーシャル宇宙飛行センターが管理するスペースラブプロジェクトの一部です。微小重力研究実験は、ペイロードベイ内の2つのミッション固有の実験サポート構造（MPESS）に搭載されました。Extended Duration Orbiter（EDO）キットにより、ミッション期間が延長され、科学データの収集機会が増加しました。

スパルタン-201

スパルタン201-04は、太陽コロナのリモートセンシングを目的とした太陽物理学衛星です。軌道18で展開され、軌道52で回収される予定でした。主な目的は、コロナ加熱と太陽風加速のメカニズムを調査することでした。紫外線コロナ分光計と白色光コロナグラフ（WLC）という2つの主要な実験装置が搭載されました。

スパルタン201には、技術実験（TEXAS）、ビデオ誘導センサー（VGS）飛行実験、スパルタン補助取り付けプレート（SPAM）という3つの二次実験がありました。TEXASは、将来のミッションに向けたコンポーネントの飛行試験と、リアルタイム通信リンクを提供しました。VGSは、自動ランデブーおよびキャプチャ（AR＆C）システムの主要コンポーネントをテストするレーザー誘導システムです。SPAMは、小型実験装置を取り付けるためのプレートです。

自律型EVAロボットカメラ（AERCam / Sprint）

AERCam / Sprintは、宇宙船外で使用するための小型のフリーフライトカメラプラットフォームです。自己完結型の低温ガス推進システムを備え、6自由度制御システムで推進できます。レートセンサーにより自動姿勢保持が可能で、球形の形状と柔らかいクッション材により、衝突時の損傷を防ぎます。小型のコントロールステーションを使用して、オービター内から制御されます。

宇宙の漫画キャラクター

STS-87ミッションは、宇宙へ行ったミッションのために作成された漫画のキャラクターが、実際に宇宙へ飛び、安全に地球へ帰還した最初の事例として知られています。Enclosed Laminar Flames実験のマネージャーであるルイス・ストッカーは、実験の略称がELFであることに気づき、漫画シリーズ「エルフクエスト」の作者にロゴの作成を依頼しました。著作権の問題を回避するため、シリーズ独自のスターゲイザーであるスカイワイズではなく、スターファイヤーという名前の実験記章が作成されました。

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