STS-94

スペースシャトル コロンビア STS-94 ミッション

STS-94は、1997年7月1日に打ち上げられたスペースシャトルコロンビアによるミッションです。特筆すべきは、同年4月に燃料電池の不具合で中断されたSTS-83ミッションと全く同じ搭乗員で再挑戦した点です。これは、有人宇宙飛行の歴史において極めて稀な事例です。

搭乗員

船長：ジェームズ・ハルセル (4)
操縦士：スーザン・スティル (2)
ミッションスペシャリスト1：ジャニス・E・ヴォス (4)
ミッションスペシャリスト2：マイケル・ガーンハート (3)
ミッションスペシャリスト3：ドナルド・トーマス (4)
ペイロードスペシャリスト1：ロジャー・K・クラウチ (2)
ペイロードスペシャリスト2：グレゴリー・リンテリス (2)

ミッションの目的とハイライト

STS-94の主要な目的は、Microgravity Science Laboratory (MSL) を用いた微小重力環境下での材料科学研究でした。MSLは、国際的な協力プロジェクトとして、過去の様々なスペースラブミッションの成果を基に構築されています。

MSLでは、以下の主要な施設を用いて、19の材料実験が行われました。

Large Isothermal Furnace (LIF)：宇宙開発事業団（現JAXA）が開発した大型の均熱炉で、様々な材料の拡散係数測定や液相焼結などの実験に用いられました。
EXpedite the Processing of Experiments to the Space Station (EXPRESS) Rack：将来の宇宙ステーションでの実験を効率化するためのラックで、物理学実験や天体観測実験が行われました。
Electromagnetic Containerless Processing Facility (TEMPUS)：電磁場を用いて材料を浮遊させ、容器との接触なしに様々な熱物理的性質を測定する施設です。過冷却状態での合金の挙動やガラス形成の研究などに用いられました。
Coarsening in Solid-Liquid Mixtures (CSLM)：固体と液体の混合物における粗大化現象を研究する実験です。
Droplet Combustion Experiment (DCE)：様々な条件下での液滴の燃焼現象を研究する実験です。
Combustion Module-1 Facility (CM-1)：NASAグレン研究センターが開発した燃焼モジュールで、層流すすの生成過程や火炎球の構造に関する実験が行われました。
Middeck Glovebox (MGBX)：マーシャル宇宙飛行センターで開発されたグローブボックスで、微小重力環境下での様々な技術実験が行われました。

これらの実験施設に加え、宇宙空間での微小重力環境を詳細に測定するための様々な装置も搭載されました。

space acceleration measurement system (SAMS)
microgravity measurement assembly (MMA)
quasi-steady acceleration measurement system
orbital acceleration research experiment (OARE)

STS-83からの再挑戦

STS-83は、STS-94と全く同じ目的と搭乗員で実施される予定でしたが、燃料電池の不具合によりミッションが早期に中断されました。STS-94は、この中断されたミッションを再試行するものであり、科学研究の継続に対するNASAの強い意志を示すものでした。

まとめ

STS-94は、微小重力環境下での材料科学研究を大きく前進させたミッションであり、同時に、困難に屈せず同じ目標に再挑戦するという、宇宙開発における不屈の精神を象徴するものでもあります。

外部リンク

NASA mission summary - ウェイバックマシン (2000年12月16日アーカイブ分)
STS-94 Video Highlights - ウェイバックマシン

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