STS-9

STS-9：スペースシャトル コロンビア 6回目の飛行

STS-9は、スペースシャトルコロンビアの6回目の飛行であり、1983年11月28日に打ち上げられました。この飛行の後、コロンビアは1986年1月のSTS-61-Cまで飛行しませんでした。また、チャレンジャー号爆発事故後、STS-26でスペースシャトル計画が再開されるまで、従来の番号付け方式が用いられた最後のミッションとなりました（STS-41-Aと呼ばれることもあります）。

ミッション概要

STS-9の主な目的は、NASAとESA（欧州宇宙機関）が共同で開発したスペースラブを軌道に運び、様々な科学実験を行うことでした。乗組員は6名で、その中にはNASA以外の宇宙飛行士として初めてスペースシャトルに搭乗した、西ドイツのウルフ・メルボルトと、マサチューセッツ工科大学の研究者であるバイロン・リヒテンバーグが含まれていました。

乗組員

船長：ジョン・ヤング（6度目）
操縦手：ブリュースター・ショウ（1度目）
ミッションスペシャリスト1：オーウェン・ギャリオット（2度目）
ミッションスペシャリスト2：ロバート・A・パーカー（1度目）
ペイロードスペシャリスト1：ウルフ・メルボルト（ESA、1度目）
ペイロードスペシャリスト2：バイロン・リヒテンバーグ（1度目）

ミッションパラメータ

質量
離陸時：112,318kg
着陸時：99,800kg
ペイロード：15,088kg
近点：240km
遠点：253km
軌道傾斜角：57°
軌道周期：89.5分

ミッションの詳細

打ち上げは当初の予定より1ヶ月遅れました。原因は、スペースシャトル固体燃料補助ロケットのノズルに不具合が見つかったためで、機体を一度組み立て棟に戻してノズルを交換する必要がありました。6名という当時の有人宇宙飛行最多の乗組員数も注目を集めました。

乗組員は2つのチームに分かれ、12時間交代で作業を行いました。ジョン・ヤング、ロバート・A・パーカー、ウルフ・メルボルトが赤チーム、ブリュースター・ショウ、オーウェン・ギャリオット、バイロン・リヒテンバーグが青チームとなり、船長または操縦士がフライトデッキ、ミッションスペシャリストとペイロードスペシャリストがスペースラブ内に常駐する体制が取られました。

スペースラブでは、プラズマ物理学、天文学、太陽物理学、材料科学、生命科学、地球観測など、多岐にわたる分野で72もの科学実験が行われました。実験の成功を受け、ミッションは1日延長され、当時のスペースシャトル飛行として最長の10日間となりました。

また、オーウェン・ギャリオットは、この飛行中に史上初となる宇宙からのアマチュア無線による通信を行いました。この出来事をきっかけに、教育目的やバックアップ通信手段として、宇宙からのアマチュア無線通信が広く活用されるようになりました。

トラブルと帰還

ミッションは成功裏に終わったかに見えましたが、帰還直前に2台の誘導コンピュータが故障するというアクシデントが発生しました。幸い、1台は再起動に成功し、再突入は8時間遅延したものの、無事に地球へ帰還できる見込みが立ちました。

さらに、着陸直前にはAPU（補助動力装置）3基のうち2基からヒドラジン漏れが発生し、火災が発生するという緊急事態に見舞われました。APUは操縦翼面とブレーキの駆動を担っており、残りの1基が正常に機能したことで、辛うじて着陸に成功しました。

これらのトラブルを受け、コロンビアは大規模な改修とアップグレードを受けることになり、1984年から1985年の間は飛行を見合わせることとなりました。

ミッションの徽章

ミッションの徽章には、コロンビア号のカーゴベイに搭載されたスペースラブが描かれています。9つの星とオービタの軌跡は、ミッション番号である「9」を表しています。

外部リンク

NASA STS-9 Mission Summary
STS-9 Mission Report
STS-9 Video Highlights - ウェイバックマシン
Risks Digest 8.13 on computer problems on early Shuttle flights

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