SUPER STAR

長渕剛「SUPER STAR」：青春の挫折と葛藤を綴る不朽の名曲

1986年7月2日、日本のシンガーソングライター、長渕剛の15枚目のシングル「SUPER STAR」がリリースされました。東芝EMIのエキスプレスレーベルより発売された本作は、長渕剛自身の作詞・作曲・プロデュースによる、ミディアムテンポのフォークロックナンバーです。編曲は瀬尾一三氏と長渕剛氏によって手がけられました。

若き日の苦悩を映し出す歌詞とサウンド

「SUPER STAR」は、長渕剛が自身の青春時代、10代の頃の挫折と苦悩を赤裸々に描いた作品です。力強い歌声と、胸に迫る歌詞が、聴く者の心に深く響きます。楽曲全体を彩るサウンドは、ロック調のバンド演奏を基調としたシングルバージョンと、アコースティックギターとドラムスのみのシンプルなアレンジが印象的なアルバムバージョンとで大きく異なっています。この異なるアレンジは、シングルがロックなサウンドを前面に出しているのに対し、アルバム『STAY DREAM』全体のアコースティックなサウンドコンセプトに合わせたものです。

音楽情報サイト『CDジャーナル』は、「長渕剛主演のTBS系ドラマ『親子ゲーム』の主題歌として知られるミディアム・ナンバー。長渕らしい男臭さに満ちあふれた青春回顧ソング」と評しています。また、特徴的な「チュッチュルチュル～」というハーモニカとユニゾンの歌い回しも、楽曲の印象的なポイントとして挙げられています。お笑い芸人ワッキー氏（ペナルティ）は、長渕剛の楽曲の中でも特に「SUPER STAR」を最も好きな曲として挙げています。

ドラマ『親子ゲーム』との深い関わり

「SUPER STAR」は、長渕剛主演のTBS系テレビドラマ『親子ゲーム』（1986年）の主題歌として起用されました。このドラマは、長渕剛が演じる主人公・矢板保の葛藤と成長を描く物語です。ドラマのオープニングでは、堀切ジャンクションを背景にバイクを走らせる矢板の姿や、河川敷を転がるシーンと共に「SUPER STAR」が流れ、作品の世界観をさらに深めています。長渕剛は、当初ドラマ出演に否定的な姿勢でしたが、プロデューサー柳井氏の熱意と「俺じゃなきゃ出来ないドラマ」という提案に心を動かされ、出演を決意しました。

リリースとチャート、そしてその後

「SUPER STAR」はアルバム『STAY DREAM』に先行してリリースされましたが、アルバム収録バージョンはシングルとは全く異なるアレンジが施されています。CDシングルとしては当初リリースされていませんでしたが、東芝EMIのシングルオムニバスCD『ベストナウ　ニューミュージック・ベスト・ヒット　1986』に収録され、CD化されました。その後、ベストアルバム『SINGLES Vol.2 (1983〜1988)』に収録されたことで、より多くのリスナーに親しまれるようになりました。オリコンチャートでは最高位13位、登場回数13回を記録し、9.9万枚の売上を達成しました。

B面には、アルバム『HEAVY GAUGE』（1983年）に収録されていた「DON'T CRY MY LOVE」が収録されています。この曲は、アルバム『LOVE SONGS』（1986年）でも歌い直されて収録され、さらに『SONGS』（2008年）ではヴォーカルのみが再録音されるなど、長渕剛の楽曲の中でもバージョン違いが多い楽曲として知られています。この「SUPER STAR」以降、長渕剛のシングルのB面には、既存曲の別バージョンやライブバージョンが収録されることが多くなりました。

ミュージックビデオは、ドキュメンタリービデオ『明日へ向かって 1985-1986 長渕剛の記憶』に収録され、レコーディングスタジオで歌う長渕剛のモノクロ映像として収められています。また、テレビ番組『歌のトップテン』にも出演し、ドラマ撮影秘話などを披露しました。ライブパフォーマンスでは、「LIVE'86 - '87 STAY DREAM」ツアー以降、長らく演奏されることはありませんでしたが、2009年の30周年記念ツアーやカウントダウンライブで再び演奏され、現在もライブで披露されることがあります。

「SUPER STAR」は、長渕剛の代表曲の一つとして、現在も多くのファンに愛され続けています。その力強い歌声と、青春時代の葛藤を歌った歌詞、そしてシングルとアルバムで異なるアレンジは、長く聴き継がれる理由と言えるでしょう。

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